未来へ羽ばたく共和国
九二五年 冬。
首都は、建国記念式典を迎えていた。
共和国建国以来、最大規模の国家行事。
街には新しく制定された共和国旗が掲げられ、人々で埋め尽くされている。
赤、白、赤。
中央には、大きく翼を広げたドラゴン。
子どもたちは小さな共和国旗を振り、大人たちも笑顔で沿道に並んでいた。
「始まるぞ!」
「共和国軍だ!」
ラッパの音が鳴り響く。
先頭を歩くのは軍楽隊。
その後ろを、新しい礼装に身を包んだ共和国軍が整然と行進する。
続いて工兵隊。軍医隊。通信隊。
そして、郵便や災害支援にも使われる軍用トラックがゆっくりと走る。
沿道から大きな拍手が送られた。
「格好いい!」
「ありがとう!」
兵士たちは笑顔で敬礼を返す。
さらに、自動車工場で完成した国産車。
農業機械。通信車両。
共和国の技術力を象徴する車両が次々と続く。
空を見上げると、大きな歓声が上がった。
Ka52輸送機が編隊を組み、首都上空をゆっくり飛行する。
「飛行機だ!共和国の飛行機だ!」
子どもたちは歓声を上げながら空へ手を振った。
式典会場には、メリカ国、ギリス国、本国、シア国をはじめ、多くの国々から来賓が訪れていた。
各国代表も共和国の発展に驚きを隠せない。
「数年前まで敗戦国だったとは思えない……」
「これほど短期間で国を立て直すとは」
やがて司会者が高らかに告げる。
「共和国総統、ベレ閣下!」
会場は大きな拍手に包まれた。
ベレは演壇へ立ち、集まった国民をゆっくり見渡す。
そして静かに話し始めた。
「皆さん。共和国は、ここまで歩んでくることができました。」
「ですが、それは私一人の力ではありません。」
「工場で働く人。畑を耕す人。研究を続ける人。国を守る兵士」
「そして共和国を信じ、支えてくださった国民一人ひとりのおかげです」
会場は静まり返る。
「私は英雄ではありません。英雄が国を救うのではありません。制度が国を守るのです」
その言葉に、多くの国民が静かに頷いた。
ベレは新しい共和国旗へ視線を向ける。
「この旗の下で。子どもたちが安心して学び。家族が笑顔で暮らし」
「誰もが未来へ希望を持てる共和国を、これからも皆さんと共に築いていきます」
大きな拍手が会場を包む。
世界各国の来賓も立ち上がり、惜しみない拍手を送った。
パレードは夕方まで続き、首都は祝賀ムードに包まれる。
共和国は敗戦から立ち上がり、復興し、技術を育み、人を育て、未来へ歩き始めた。
九二五年冬。
この日は、共和国が新たな時代へ踏み出したことを、世界中へ示す歴史的な一日となった。




