共和国初の博覧会
総統官邸。ベレは一枚の企画書を眺めていた。
「随分と色々な物が完成してきたわね」
ラインも頷く。
「自動車、飛行機、ラジオ、電話、農業機械……」
「国民も実物を見る機会はほとんどありません」
ベレは企画書を閉じた。
「なら、みんなに見てもらいましょう!共和国初の博覧会を開催します!」
ラインは目を輝かせる。
「博覧会ですか!」
「ええ」
「研究者や技術者が努力して作った物です!国民にも、その成果を見てもらいましょう。もちろん、海外からの視察団も歓迎します」
数か月後。
首都郊外に建設された博覧会会場には、大勢の人々が集まっていた。
入口には共和国の旗が掲げられ、各国の国旗も並んでいる。
会場へ一歩足を踏み入れると、来場者たちから歓声が上がった。
「これが共和国の自動車か!」
丸みを帯びた国産自動車の周りには、多くの家族連れが集まる。
子どもたちは目を輝かせて車を見つめていた。
隣の展示場では、Ka52輸送機が堂々と展示されている。
翼を見上げながら、一人の外国人視察団員が驚く。
「これを数年で開発したというのか……」
通信コーナーでは、ラジオの実演が行われていた。
遠く離れた放送局の声が、その場で聞こえる。
さらに電話の展示では、離れた建物同士がリアルタイムで会話する様子に、来場者たちは驚きの声を上げた。
「本当に声が聞こえる!」
屋外展示場では、新型軍用トラックと農業機械が並ぶ。
説明員が話す。
「このトラックは、平時は郵便や建設資材の運搬、災害支援に使用されます」
「有事には兵站車両として運用されます」
視察団の一人が感心する。
「軍用と民間利用を両立させる発想か……」
農業機械の前では農家たちが集まり、その性能を熱心に質問していた。
「これなら畑仕事がずいぶん楽になるぞ」
午後。
開会式。
ベレが演壇へ立つ。
静まり返った会場を見渡し、穏やかに語り始めた。
「共和国は、武力だけで国を強くするつもりはありません」
「技術、産業、教育、それらが国を豊かにし、国民の暮らしを支えます」
会場は静かに聞き入っている。
「今日展示されている物は、どれも研究者や技術者、職人、そして現場で働く皆さんが努力して生み出したものです」
「共和国の力は、一人の英雄ではありません!国民一人ひとりの力です」
演説が終わると、大きな拍手が会場を包んだ。
海外視察団の代表が、小さく呟く。
「共和国は、いつの間にここまで発展したのだ……」
別の代表も頷く。
「我々が見ているのは、一つの博覧会ではない」
「未来そのものだ」
こうして共和国初の博覧会は大成功を収め、その技術力と国力を世界へ示す歴史的な催しとなった。




