表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/21

もう一つの人生

……寒い。いや、違う。

身体が動かない。指先に力が入らない。

頭が重い。

何か熱いものが額を伝い、首筋へ流れていく。


……血か。


そう思った。

砲撃を受けた。避難民をかばった。

あの爆発で、私は――そこまで考えたところで、意識が途切れる。


どれくらい時間が経ったのだろう。

耳元で、誰かの声が聞こえた。


「お嬢様! お嬢様!」


……お嬢様?


誰のことだ。


「しっかりしてください、お嬢様!」


ずいぶんと必死な声だ。

それにしても、お嬢様とは?

私は四十を過ぎた外交官だ。

独身だし、貴族でもない。

お嬢様なんて呼ばれる人生ではなかった。


……私のことじゃないだろ。


そう思った。

だが、肩を揺すられる感覚。

頬に触れる手。

どう考えても、呼ばれているのは私だった。


いやいや、待って?

こんなおばさん捕まえて、お嬢様って?

そんなに私、若く見えた?


冗談を考えられるくらいには、意識は戻ってきたらしい。だが、口が動かない。


目も開かない。指一本動かせない。


まるで身体そのものが、自分のものではないようだった。


「お医者様を! 早くお医者様を!」


慌ただしく走る足音。

何人もの声。泣いている女性もいる。


ここは……病院?


いや、違う?消毒液の匂いがしない。

代わりに、木の香りと暖炉の煤の匂いが鼻をくすぐる。


こんな場所、私は知らない。


その時だった。

誰かが、私の小さな手を握った。


……小さな?


違和感に、意識が一気に覚醒する。


小さい……?


私の手は、こんなに小さかっただろうか――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ