国内鉄道大改修
総統官邸。定例会議。
交通大臣が一枚の資料を広げた。
「総統。ルー地方を含めた鉄道路線の復旧は順調に進んでおります」
ベレは満足そうに頷く。
「良かったわ」
交通大臣は続ける。
「ですが、新たな問題が発生しております」
「問題?」
「はい」
地図を指差す。
「貨物列車も旅客列車も増えたため、単線では列車同士の待ち合わせが多くなり、輸送能力が限界に近づいております」
鉄道局長も説明を加える。
「工場が増え、石炭や鉄鋼の輸送量も急増しております。このままでは物流が滞ります」
ベレは腕を組み、しばらく考え込んだ。
「そうよね……復旧ばかりを優先してきたけれど。そろそろ次の段階へ進まなきゃ」
立ち上がると、黒板へ大きく三つ書いた。
・複線化
・信号設備の整備
・鉄橋の建設・架け替え
会議室が静まり返る。
交通大臣が驚く。
「すべて実施されるのですか?」
「ええ」
「まず主要幹線から複線化します。列車同士の待ち時間を減らしましょう。信号設備も近代化してください。安全性と運行本数を増やします」
鉄道局長は熱心にメモを取る。
ベレはさらに地図を見ながら続けた。
「老朽化した橋も、この機会に新しくしましょう。重量のある貨物列車にも耐えられる鉄橋へ更新してください」
ラインが感心したように頷く。
「鉄道を一から作り直す勢いですね」
ベレは微笑んだ。
「後回しになっていた国内の鉄道を、今こそ改修しましょう。工場で作っても運べなければ意味がありません。港で荷物を積んでも、鉄道が止まれば経済は止まります」
会議室を見渡し、力強く言った。
「物流が国を強くするんです」
その言葉に全員が立ち上がる。
「了解!」
数日後。
共和国各地で工事が始まった。
新しい線路が敷かれ。
信号柱が建ち。
巨大な鉄橋が少しずつ姿を現していく。
工事を見つめる一人の老人が、小さく呟いた。
「昔は列車が一日に数本しか来なかった……」
「今じゃ、町が列車でつながっていく」
鉄道は人を運び、物を運び、国を発展させる。
共和国は再び、未来へ向けて大きなレールを敷き始めていた。




