兵士を守る軍服
共和国陸軍被服廠。
広い倉庫には、新しく仕立てられた軍服が整然と並べられていた。
国防大臣、ヘルム、ライン、そしてベレが視察に訪れる。
担当者が敬礼した。
「総統。新型軍服が完成いたしました」
ベレは一着手に取り、生地を確かめる。
「軽い……?今までのものより、ずっと柔らかいわね」
担当者が説明を始める。
「素材を見直し、重量を抑えました。保温性も向上しております。耐久性も従来より高くなっています」
ヘルムも頷いた。
「兵士の負担はかなり減るでしょう」
ベレは笑顔になる。
「実際に着てもらいましょう」
しばらくすると、数名の兵士が新型軍服へ着替えて現れた。
一人の兵士が腕を動かす。
「軽い!」
別の兵士は屈伸を繰り返す。
「動きやすい!」
冬季演習担当の兵士も驚いた表情を見せる。
「暖かい!これなら冬でも助かります!」
ベレは満足そうに頷いた。
「良かった」
担当者は続いて、別の軍服を運んできた。
「こちらは礼装です」
濃い色合いで仕立てられた、格式ある軍服。
式典や公式行事で着用するためのものだった。
ラインも思わず見惚れる。
「威厳がありますね」
続いて三着目が運ばれる。
担当者が布を外すと、会場がざわついた。
「これは……?」
まだ誰も見たことのない、不規則な模様が描かれた軍服だった。
緑。茶色。黒。複数の色が入り混じっている。
ヘルムが首を傾げる。
「総統、この模様は?」
ベレは微笑んだ。
「迷彩服です!森や草原では、人の姿を見つけにくくできます」
その場にいた全員が驚く。
「そんな発想が……」
ベレは続ける。
「こちらは陸軍用です!兵士が敵に見つかりにくくなれば、それだけ生きて帰る可能性も高くなります」
国防大臣も大きく頷いた。
「まさに兵士を守る軍服ですな」
さらに担当者が説明する。
「海軍は従来どおり白を基調とした制服です」
「そして新設予定の空軍には、濃い青を基調とした制服を準備しております」
ベレは満足そうに笑った。
「それぞれの役割が一目で分かります」
ヘルムは新しい軍服を見渡しながら静かに言った。
「普通なら武器から考えるところですが……総統は、まず兵士を守ることを考えられた」
ベレは穏やかに答える。
「兵士は国の財産です!私は、一人でも多くの兵士に無事に家族のもとへ帰ってきてほしい。だから最初に変えるのは武器ではありません。兵士が毎日身に着ける軍服なんです」
その言葉に、その場にいた兵士たちは背筋を伸ばした。
共和国軍の改革は、兵士の命を守る一着の軍服から、新たな一歩を踏み出した。




