止まらない改革
共和国新聞社。
編集部では記者たちが慌ただしく原稿を書いていた。
机の上には、ここ数か月の共和国政府の政策をまとめた資料が山積みになっている。
公共事業。工業学校。国民食堂。ラジオ。
ルー地方復興。科学技術研究所。
国産自動車計画。全国送電網。電話網。
郵便口座。医療保険。
ウス・ライ記者が資料を見ながら頭を掻いた。
「おいおい……何なんだ、あのお嬢ちゃんの頭の中は」
若い記者が笑う。
「総統ですか?」
「ああ。次から次へと政策を打ち出してきやがる。しかも、このスピード感だ。俺たち新聞社ですら整理するのが大変なのに、役所なんてもっと大変だろ」
別の記者も苦笑した。
「周りは追いつくだけで精一杯でしょうね。でも、不思議と全部繋がってるんですよ」
「工業学校で人を育てて、研究所で技術を生み、工場で製品を作り、郵便口座や医療保険で生活を支える。全部、一つの流れになってる」
腕を組んだ。
「しかもだ。仕事まで生み出してやがる。公共事業だけじゃねぇ」
「工場も研究所も、発電所も電話網も、全部雇用になってる」
若い記者が統計資料を見ながら驚く。
「失業率も、毎月のように改善しています。世界恐慌の中とは思えません」
編集長が腕を組みながら笑う。
「面白ぇ。こんな政府、今まで見たことがねぇ」
椅子にもたれながら呟いた。
「いつもは選挙の時くらいしか支持率なんて調べねぇが……試しにやってみるか」
編集長も頷く。
「いいな。共和国初の支持率調査だ。国民が、この改革をどう見ているのか知りたい」
若い記者たちは一斉に立ち上がる。
「街へ行ってきます!」
「地方にも聞いてきます!」
「工場や炭鉱も回ります!」
編集長は笑顔で送り出した。
「頼んだぞ!共和国が今、本当にどう思われているのかを記事にしてこい!」
翌朝。
共和国中へ記者たちが散っていく。
誰もまだ知らない。
その調査結果が、共和国史上初めてとなる驚異的な数字を記録することを。




