未来を照らす光
総統官邸。
定例閣議が開かれていた。
各地の復興状況が報告される中、ベレは一枚の地図を机の上へ広げた。
「皆さん!ルー地方が共和国へ戻ってきました」
大臣たちが静かに頷く。
「石炭も安定して確保できるようになりました。なら、次にやることは一つです」
ベレはルー地方を指差した。
「新型火力発電所を建設します」
会議室がざわつく。
各大臣が確認する。
「火力発電所ですか?」
「はい」
「石炭は掘るだけでは価値を十分に生かせません。電気へ変え、国中へ届けて初めて国力になります」
ベレは黒板へ大きく書いた。
『全国送電網整備計画』
「都市だけではありません。地方の町や村まで電気を届けます。学校にも病院にも工場にも、すべての人へ」
国土交通大臣が地図を見ながら口を開く。
「総統。これは共和国史上最大規模の公共事業になります。発電所だけでなく、変電所、送電鉄塔、送電線も必要です。完成までには相当な年月が掛かるでしょう」
ベレは静かに頷いた。
「構いません。国づくりは一年で終わるものではありません。十年後、二十年後の共和国を作る仕事です」
電力大臣も力強く答えた。
「まずはルー地方へ共和国最大級の火力発電所を建設します。その後、首都圏まで幹線送電網を整備。さらに地方都市、各村へと順次送電網を延ばします」
ラインは少し驚いた表情を見せる。
「総統!地方まで本当に送電するのですか?」
ベレは微笑んだ。
「もちろん。都会だけ明るくても意味がありません。共和国に住む人なら、誰でも同じように電気を使える国にしたいんです」
会議終了後。
ルー地方では早速、測量隊が現地へ入った。
技術者たちは設計図を広げ、測量機を据え付ける。
山を越え。川を渡り。
送電線の予定ルートに一本一本、杭が打ち込まれていく。
発電所予定地では地盤調査も始まった。
担当技師が静かに呟く。
「ここから共和国の未来が始まるんだな……」
その報告書を読んだベレは、小さく微笑んだ。
「今日、まだ電気は届きません。でも、子どもたちが夜でも勉強できる未来。病院が夜でも安心して治療できる未来。工場が安定して動き続ける未来。その第一歩は、今日踏み出したんです」
窓の外では、夕日が共和国の大地を赤く照らしていた。
その光はやがて、未来を照らす新たな灯へと変わろうとしていた。




