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平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者: 稔


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新しい共和国

ルー地方の復興は、着実に進んでいた。

復旧した炭鉱では石炭が掘られ。

工場には再び機械の音が響く。

そして共和国政府は、新たな復興計画を発表した。


「ルー地方にも共和国の制度を広げます」


ベレは復興会議で宣言する。


「まずは工業学校を建設します。若い技術者を育て、この地方の産業を支えてもらいます」


担当大臣が頷く。


「建設予定地は既に選定済みです」


ベレは続ける。


「国民食堂も設置します。仕事を探している人も、子どもも、お年寄りも安心して食事ができる場所を作ります」


「さらに、ラジオ局も建設します。情報は都市だけのものではありません。ルー地方の皆さんにも、同じ情報を、同じ速さで届けます」


会議室の大臣たちは力強く頷いた。

こうして、工業学校。国民食堂。ラジオ局。


共和国で成果を上げた制度が、ルー地方でも次々と始まっていく。


やがて、その動きはルー地方だけではなく、全国へ広がり始めた。


誰かが、その仕組みをこう呼び始める。


「共和国モデル」


会議が終わりかけた頃。

ラインが一枚の書類を持って近付いてきた。


「総統。一つ、ご相談があります」


「どうしました?」


「党員や議員の皆さんから、党のシンボルが欲しいという意見が多く寄せられています」


「シンボル?」


「はい」


「一目見て、シュタール労働者党だと分かる旗やマークが欲しいそうです」


ベレは少し考え込む。


「うーん……確かに、あってもいいかもしれないわね」


ラインは嬉しそうに頷いた。


「では、専門家へ依頼しましょうか?」


ベレは首を横に振る。


「せっかくだから、国民に募集してみない?」


「国民から?」


「ええ。金賞、銀賞、銅賞みたいに賞を設けて、採用された人には賞金や、共和国の特産品なんかを贈るの」


ラインは思わず笑顔になる。


「ああ、それは面白いですね!国民みんなで作る党のシンボルになります」


ベレも笑って頷いた。


「そう!国は、政治家だけで作るものじゃない!国民みんなで作るものだから」


ラインは早速手帳を開いた。


「分かりました!直ちに募集要項を作成します!」


翌日。


全国の新聞には、大きく告知が掲載された。


『共和国初! シュタール労働者党シンボルマーク募集!採用作品には豪華賞品!』


復興だけではない。


共和国は、新しい時代の象徴までも国民と共に作り始めていた。

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