↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者: 稔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
260/403

帰還

ルー地方。


共和国軍は静かに街へ入っていく。

住民たちは家の窓から、その様子を不安そうに見つめていた。


「共和国軍だ……」


「本当に来たのか……」


誰も歓声を上げない。

戦争になると思っていたからだ。

その時だった。


共和国軍前線司令官が部下へ命じる。


「第一班!食料配給を開始!」


「第二班!医療班を展開!」


「第三班!青十字と合流し、負傷者の救護に当たれ!」


「第四班!治安維持に当たれ!住民への危害は絶対に許すな!」


「はっ!」


兵士たちは武器を構えるのではなく、荷馬車から食料や医薬品を降ろし始めた。


子どもへ、パンを渡す兵士。

老人を支える衛生兵。

青十字の職員と共に負傷者を運ぶ兵士たち。

その光景を見た一人の女性が涙を流した。


「戦いに来たんじゃ……ないの?」


隣にいた老人も静かに頷く。


「共和国は……」


「本当に迎えに来てくれたんだ」


「ラジオで言っていた通りだ……」


街のあちこちで涙を流す住民の姿があった。


その頃。

ルー地方郊外では、ランス軍の武装解除が始まっていた。

共和国軍の監督の下、兵士たちは小銃や拳銃を一丁ずつ積み上げていく。


機関銃。迫撃砲。野砲。弾薬箱。軍用車両。

次々と共和国軍へ引き渡されていく。

共和国軍前線司令官は静かに命じた。


「武装解除を確認。降伏したランス軍は、速やかに国境まで護送する。自国へ帰還させろ」


共和国軍は敗兵へ報復することなく、秩序を保ったまま国境まで送り届けた。


さらに、ランス軍が残していった補給基地も接収される。


倉庫には大量の備蓄品が並んでいた。

小銃。弾薬。砲弾。無線機。軍服。


そして大量の食料品や医薬品。


兵士が思わず声を上げる。


「これだけあれば……」


前線司令官は頷いた。


「まずは住民へ回せ。兵士は後でいい。共和国軍は住民を守るために来た」


その命令に兵士たちは力強く敬礼した。


夕暮れ。

共和国の国旗がルー地方の役場へ静かに掲げられる。

それを見上げた住民たちは、静かに拍手を始めた。

小さな拍手はやがて大きくなり、街中へ広がっていく。


誰一人命を落とすことなく。

ルー地方は、再び共和国のもとへ帰ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。