世界が止める
共和国軍三千人がルー地方へ向け進軍を開始した。その報せは、わずか数時間で世界中を駆け巡る。
各国の新聞は臨時号外を発行した。
『共和国軍、ルー地方へ進軍開始』
『最後通告、実行へ』
『欧州情勢、一触即発』
各国政府は騒然となった。
その日、メリカ国、ギリス国、本国の三か国は、緊急首脳会議を開催した。
会議室には重い空気が流れている。
メリカ国代表が口を開く。
「まさか、本当に共和国軍が動くとは……」
ギリス国代表も資料を見つめながら頷く。
「我々は外交で止まると思っていた。ですが、共和国は最後通告を実行しました」
本国代表が静かに言う。
「共和国は本気です。ここで止めなければ、戦争になります」
三か国は直ちに共同声明をまとめた。
その内容は、ランス国とルギー国への最後通告だった。
「共和国は既に軍を動かした」
「今ならまだ間に合う」
「直ちに停戦協議へ応じなさい」
「人道支援物資の受け入れを認めなさい」
「これ以上の武力衝突は、世界全体の損失となる」
共同声明は、外交電報としてランス国へ送られた。
その頃。ランス国政府。
外務大臣が慌てて首相執務室へ駆け込む。
「首相!共和国軍が、本当に進軍を開始しました!」
首相は思わず立ち上がる。
「何だと!?脅しではなかったのか!」
軍司令官も驚きを隠せない。
「共和国軍は三千人との報告です。しかし、本当に国境へ向かっています」
首相は机を叩いた。
「あり得ん!共和国に戦う度胸などないと思っていた!」
外務大臣はさらに一通の電報を差し出す。
「メリカ国、ギリス国、本国の三か国による共同声明です」
首相は急いで目を通す。
そこには大きく書かれていた。
『今ならまだ間に合う』
『直ちに共和国との交渉を開始せよ』
『戦争を回避せよ』
首相の表情が険しくなる。
「三か国が、共和国側についたというのか……」
軍司令官も苦い表情を浮かべた。
「完全に想定外です。共和国が軍を動かしたことで、国際世論も動きました」
部屋は重苦しい沈黙に包まれる。
一方、共和国軍は一歩、また一歩とルー地方へ向けて歩き続けていた。
その歩みは決して速くはない。
だが、一度も止まることはなかった。
世界中が、その進軍を固唾をのんで見守っていた。
戦争か。それとも平和か。
歴史を左右する決断の時が、刻一刻と近づいていた。




