↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者: 稔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
254/403

進軍命令

最後通告から四十八時間。

時計の針が、静かに期限を告げた。

総統執務室。ラインが電報を手に入室する。


「総統。ランス国、ルギー国、両政府より回答はありません」


部屋は静まり返る。

ベレは静かに目を閉じ、小さく息を吐いた。


「……そうですか」


ゆっくりと立ち上がる。

全員がベレを見つめる。


国防大臣。ヘルム。ライン。外務大臣。


誰一人として口を開かない。

ベレは静かに言った。


「国防大臣」


「はい」


「共和国軍総司令官として命令します。共和国軍へ伝達。予定通り前進してください」


国防大臣は力強く敬礼する。


「了解しました!」


ベレは続けた。


「もう一つ、裏命令があります。もし勝てそうになかったら、直ちに撤退してください。兵士の命を最優先とします」


国防大臣は思わず聞き返す。


「……本当によろしいのですか?普通なら最後まで戦えと命じるところですが」


「いいんです。兵士は国の宝です。生きて帰ってくることも任務です」


ヘルムは思わず吹き出した。


「ぷはっ!何だその命令は!初めて聞いたぞ!」


ラインも苦笑する。


「総統らしいですね」


ヘルムは笑いながら帽子をかぶり直した。


「了解!その命令、俺が責任を持って伝える」


ベレは二人を見つめる。


「国防大臣、ヘルムさん。現地で皆さんをお願いします」


国防大臣は力強く頷く。


「必ず任務を果たします」


ヘルムも敬礼した。


「任せとけ」


二人はそのまま執務室を後にした。

総統官邸を出ると、公用車へ乗り込み軍用飛行場へ向かう。

飛行場では二機の軍用機が既に暖機運転を終えていた。


整備兵が敬礼する。


「離陸準備、完了しております!」


国防大臣はヘルムを見る。


「行くぞ」


「ああ」


二人は機内へ乗り込んだ。

プロペラが勢いよく回転する。

轟音とともに軍用機は滑走路を駆け抜け、大空へ舞い上がった。


向かう先は共和国軍前線司令部。


その頃。


前線集結地では、国防大臣からの命令を受けた将校が全将兵の前へ立つ。


「総統命令!共和国軍、前進!」


ラッパが鳴り響く。

三千人の共和国軍が一斉に歩き始めた。

軍用トラックはわずか。荷馬車も少ない。

兵士たちは自らの足でルー地方を目指す。

沿道には多くの国民が集まっていた。

老人は帽子を脱ぎ、子どもたちは共和国旗を振る。


工場の職人たちは静かに敬礼する。


「頼んだぞ!」


「必ず帰って来い!」


「ルー地方のみんなを助けてくれ!」


兵士たちは敬礼で応えながら歩き続けた。

総統官邸の窓から、その様子を見つめるベレは、小さく敬礼を返した。


「お願いです。誰一人、命を落とさないでください」


共和国軍三千人。


共和国の未来とルー地方の希望を背負い、静かに前進を開始した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。