↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者: 稔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
252/403

四十八時間の最後通告

数日後。総統官邸、情報部。

ヘルムは疲れた表情で部屋へ入ってきた。


「総統。どうにか、かき集めた」


ベレは立ち上がる。


「集まりましたか?」


「はい」


「俺も旧友を頼り、各地へ散っていた連中へ声を掛けた。現在、集結地域への移動は完了している」


ヘルムは苦笑する。


「だがな……文字通り烏合の衆って程じゃねぇが正規軍、予備役、元兵士、志願兵……寄せ集めだ。装備もバラバラ、訓練も十分じゃねぇ」


ベレは静かに頷く。


「そうですか……」


ヘルムは地図を広げた。


「ここが集結地点だ。ここから徒歩で約四十八時間。ルー地方へ入れる」


ベレは首を傾げた。


「徒歩?」


「ああ、荷馬車も足りねぇ。トラックなんざ、もっと足りねぇ、燃料も十分じゃない。一部は自転車を使わせる。結局、一番確実なのは歩くことだ」


ベレは静かに地図を見つめた。


「……なるほど」


少し考えた後、顔を上げる。


「分かりました。記者会見を開きます」


ラインが驚く。


「このタイミングでですか?」


「はい。最後の機会を与えます」


数時間後。総統官邸。

国内外の記者が集まり、臨時記者会見が始まった。

ベレは壇上へ立つ。


「本日は、お集まりいただきありがとうございます。まず最初に共和国政府は、今回の青十字支援隊襲撃事件により、多くの方々が犠牲となったことに深い悲しみを表します」


会場は静まり返る。

ベレは続けた。


「共和国政府は、ランス国およびルギー国に対する賠償金の支払いを、本日をもって停止します」


記者席がざわつく。


「さらに今回の事件について正式な謝罪を求めます。そしてルー地方住民への食料品、生活必需品、医薬品などの人道支援物資の受け入れを要求します」


記者席から声が飛ぶ。


「それが共和国政府の最終要求ですか?」


「はい。これが平和的解決への最後の提案です」


記者から次々と質問が飛ぶ。


「交渉期限は?」


「もし拒否されたら?」


「経済制裁ですか?」


ベレは一つ一つ丁寧に答えていく。

そして最後、ベレは原稿を閉じた。

会場は静まり返る。


「最後に、一つ申し上げます」


ラインもヘルムも顔を上げる。

この発言は、原稿にはない。

ベレは真っ直ぐ前を見据えた。


「もし、ランス国、ルギー国両政府から四十八時間以内に、何らかの回答がない場合」


会場の空気が凍りつく。


「共和国は、三千人の共和国軍をルー地方へ進軍させます」


記者席がどよめく。


「えっ!?」


「軍を!?」


ベレは一歩も引かなかった。


「そして、ルー地方を奪還します。奴隷的な扱いを受けている共和国国民を解放します」


会場は騒然となる。


「総統!それは宣戦布告ですか!?」


「本当に軍を動かすのですか!?」


「戦争になる可能性があります!」


フラッシュが一斉に光る。

ラインは驚きのあまりベレを見つめた。


「総統……」


ヘルムは腕を組み、小さく笑う。


「あーあ。言っちまったな。もう後戻りはできねぇぞ」


ベレは静かに答えた。


「ええ、だからこそ私は最後まで平和を望みます。ですが共和国国民を守る責任から逃げることはできません」


その日の号外は、世界中を駆け巡った。


『共和国、四十八時間の最後通告』


『回答なき場合、ルー地方へ三千人進軍』


『世界情勢、一触即発』


世界は固唾をのんで、その四十八時間の行方を見守ることとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。