世界が怒る
青十字支援隊が銃撃を受けた翌日。
世界中の新聞は、一斉にその事件を一面で報じた。
『青十字支援隊、ルー地方目前で銃撃』
『人道支援への攻撃か』
『国際法違反ではないか』
『ルー地方で一体何が起きているのか』
共和国国内でも衝撃が走る。
街角では新聞を手にした人々が声を上げていた。
「青十字を撃っただって!?」
「人道支援だぞ!」
「食料や薬を運んでいただけじゃないか!」
怒りの声は共和国だけではなかった。
メリカ国。ギリス国。本国。
世界各国の新聞社やラジオ局も連日この事件を取り上げていた。
「国際機関への攻撃は断じて許されない」
「事実関係の徹底調査を求める」
「ルー地方の現状を明らかにすべきだ」
世界の世論は、一気にルー地方へ向き始めた。
その頃、総統官邸。
ラインが急ぎ足で執務室へ入る。
「総統。各国から電報が届いております」
机の上には何十通もの電報が並んでいた。
外務大臣が読み上げる。
「メリカ国政府」
『事件を強く非難する。共和国と協力し、真相究明に当たる』
続いて。
「ギリス国政府」
『人道支援活動への攻撃は容認できない。国際調査を支持する』
さらに。
「本国政府」
『ルー地方における人道状況を重大な懸念事項と認識する』
ベレは静かに目を閉じた。
「世界が……動き始めた」
その時、外務大臣が一枚の書類を差し出した。
「総統。三か国による共同声明です」
ベレは書類を受け取る。
そこには大きく記されていた。
『メリカ国、ギリス国、本国は共同調査団をルー地方へ派遣する』
『事件の真相究明および現地の人道状況を確認する』
ヘルムは口元を緩めた。
「予想以上の反応だな」
ラインも頷く。
「これだけの国が動けば、簡単には隠せません」
ベレは窓の外を見つめながら呟いた。
「犠牲になった方々の命を無駄にはできない。真実を、世界に知ってもらいましょう」
その日の夕方。
共和国中央放送局は臨時ニュースを全国へ流した。
「速報です!メリカ国、ギリス国、本国は共同でルー地方への国際調査団派遣を正式に発表しました。共和国政府も全面的に協力する方針です」
ラジオを聞いていた人々は静かに顔を見合わせた。
「世界が味方してくれている」
「もう、ルー地方だけの問題じゃない」
ベレはルー地方の地図を見つめ、小さく拳を握る。
「もう少しです。必ず、皆さんを自由にします」
青十字支援隊への銃撃事件は、一地方の事件では終わらなかった。
それは世界を動かし、ルー地方問題を国際社会全体が向き合う問題へと変えていった。




