↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者: 稔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
229/404

突然の一本化

議場は、大きなどよめきに包まれていた。


「投票の結果。ヴィーダーベレ君を首相に指名することを決定いたします」


木槌が高らかに鳴り響く。

私は、まだ状況を理解できずにいた。


「……え?私が……首相?」


周囲の議員達が次々と近寄ってくる。


「この度は、首相就任おめでとうございます」


「あ、ありがとうございます」


えーっと……確か、この人は昨日会った第三野党の代表よね?名前……忘れちゃった……


頭の中が混乱している。

第三野党代表は一礼すると、議長へ向き直った。


「議長。早速ですが、我が党から緊急議案を提出させていただきます」


議場が静まり返る。


「本来であれば、この場には大統領がおられるはずでした。しかし、この度の痛ましい事件により、大統領職は空席となりました。国家の混乱を防ぐため、憲法改正案を提出いたします」


私は首を傾げた。え?何の議案?

第三野党代表は続ける。


「大統領制を廃止し、大統領の権限を首相へ一本化する。国家元首と行政の長を統合し、新たに総統職を設けるものです」


私は固まった。

えっ!?ちょっと待って!?


その瞬間、与党席から怒号が飛んだ。


「ふざけるな!」


「そんな憲法改正を、この場でやる気か!」


別の与党議員も机を叩く。


「大統領がお亡くなりになった日に政治利用とは卑劣だ!」


「貴様らに共和国を任せられるか!」


野党席からも声が返る。


「今まで何もしなかったのは誰だ!」


「短命政権を何度も作ったのは与党だろ!」


議場は一気に騒然となる。

議長が何度も木槌を叩いた。


「静粛に!」


「静粛に願います!」


それでも与党議員は叫び続けた。


「こんな議案は認めん!」


「議会の横暴だ!」


その時だった。

私は静かに立ち上がった。

議場の視線が一斉に集まる。


「私は、この議案を事前に知りませんでした」


議場が静まり返る。


「ですが共和国の未来を決めるのは、この議場です。最後は、一人ひとりの議員が、自らの責任で判断してください」


短い沈黙が流れる。

議長はゆっくり頷いた。


「それでは採決いたします。賛成の方は、ご起立願います」


ガタッ。


まずシュタール労働者党の議員達が立ち上がる。


続いて第二野党。

さらに第三野党。

無所属議員まで次々と立ち上がった。

私は座ったまま辺りを見回す。


ん?ん?んんん!?


議長が木槌を鳴らす。


「賛成多数。よって、本議案は可決されました」


議場は拍手に包まれる。

議長は厳かに宣言する。


「これにより、大統領制は本日をもって廃止されます」


「大統領の権限は首相へ移行」


「国家元首と行政の長を統合し、新たに総統職を設置いたします」


私は完全に思考が止まっていた。


えっ……えぇぇぇ!?


議長は静かに宣言する。


「これに伴い、ヴィーダーベレ首相は首相職を辞任」


「同時に、新制度に基づき」


「ヴィーダーベレ総統の就任をここに宣言いたします」


ドンッ!


木槌が高らかに鳴り響く。

議場は大きな拍手に包まれた。

ヘルムは腕を組みながら、小さく笑った。


「これで全部、繋がったな」


ラインも思わず息を吐く。


「お嬢様……いえ!ヴィーダーベレ総統、おめでとうございます」


私は呆然と立ち尽くしたまま、小さく呟いた。


「……ちょっと待って誰か、本当に最初から説明してください……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。