揺れる議員事務所
数日後。
再び共和国を揺るがす事件が起きた。
朝刊の一面。
『連合国派議員事務所、何者かに襲撃される』
『事務所から海外資金の記録か』
記事にはこう書かれていた。
「深夜、首都中心部にある連合国派議員の事務所が何者かに襲撃された」
「建物の一部は荒らされ、金庫も壊されていた。警察が現場を捜索したところ、多額の政治資金に関する帳簿や海外との送金記録が見つかったという」
さらに――。
「連合国から政治資金の供与を受けていた可能性がある。という見方も浮上している。そして、もう一つ。現場からは数丁のシア国製軍用拳銃が押収された。警察は、対立する過激派組織による襲撃の可能性もある。として慎重に捜査を進めている」
事件の真相は、まだ明らかになっていない。
街では新聞を読んだ人々が騒然となっていた。
「また事件かよ!」
「今度は議員事務所だぞ!」
別の男が新聞を広げる。
「連合国から政治資金?」
「本当なら大問題じゃねぇか」
酒場でも話題は尽きない。
「シア国の銃まで出てきたってよ」
「対立する過激派の仕業か?」
「いや、それとも証拠を消そうとしたのか?」
誰も真相は分からない。
だが、人々の不信感だけは日に日に大きくなっていた。
その頃。
党本部。ラインが新聞をベレへ手渡した。
「また新しい事件です」
ベレは記事を読み終え、小さく息をつく。
「政治資金まで……」
ルマルも複雑な表情だった。
「この国は、思っていた以上に根が深いですね」
ヘルムは新聞を机へ置く。
「恐慌で経済が揺れた。その結果、今まで隠れていた膿まで表に出始めた」
ベレは窓の外を見つめる。
「国民が苦しんでいる時に、政治家同士がお金や権力ばかり見ていたなんて……」
しばらく沈黙が流れる。
やがてベレは静かに口を開いた。
「だからこそ。私は政治を変えたい。国民のための政治に」
ヘルムは小さく笑う。
「その言葉を忘れるな。今の議会には、それを言える政治家が少ねぇ」
窓の外では、新聞を片手に議論する人々の姿があった。
共和国は経済危機だけではない。
政治そのものへの信頼も、大きく揺らぎ始めていた。




