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平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者:


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初めての党員研修

地方支部の設立から数か月。

党本部の大会議室には、全国から集まった支部長や党員たちが座っていた。


北部支部。港町支部。工業地帯支部。

農村支部。


皆、緊張した面持ちで開会を待っている。

私は演壇へ上がると、会場をゆっくり見渡した。


「本日は、お忙しい中ありがとうございます」


静かに頭を下げる。拍手が響く。

私は用意していた資料を閉じた。


「今日は、政策の話はしません」


会場が少しざわつく。


「工業も、農業も、財政も今日は話しません」


参加者たちは不思議そうに顔を見合わせる。

私はゆっくりと言葉を続けた。


「皆さんに一つだけお願いがあります」


会場が静まり返る。


「数字を見る前に、人を見てください」


その一言に、全員が耳を傾ける。

私は穏やかに話し始めた。


「数字は大切です、統計も必要です、予算も必要です。でも、その数字の向こうには、必ず人がいます」


「病院の数字なら患者さんがいます」


「工場の数字なら働く人がいます」


「農業の数字なら農家さんがいます」


「学校の数字なら子どもたちがいます」


私は少し間を置いた。


「数字だけ見て政策を作ると、人を見失います」


「だから、まず現場へ行ってください」


「話を聞いてください」


「困っていることを知ってください」


「そのあとで数字を見てください」


会場の空気が変わっていく。

皆が真剣な表情でメモを取っていた。

私は笑顔になる。


「私たちの党は、机の上だけで政治をする党ではありません」


「現場で学び、現場で考え、現場から政策を作る党です」


一人の若い党員が手を挙げる。


「もし現場の声と数字が違ったら、どうしますか?」


私はすぐに答えた。


「両方調べてください。どちらかが間違っているとは限りません。なぜ違うのか?そこに新しい発見があります」


参加者たちは大きく頷いた。


研修が終わる頃には、会場の空気は最初とはまるで違っていた。

帰り際、一人の地方支部長がベレへ声を掛ける。


「今日、よく分かりました。私たちは支持を集めるために活動するのではないんですね」


私は微笑む。


「はい。国民の役に立てば、結果として支持は後から付いてきます」


別の党員も笑顔で言った。


「明日、早速町へ出てみます。まずは現場ですね」


「はい」


「机より先に、靴を減らしてください」


会場には笑い声が広がった。


少し離れた場所で、その様子を見ていたヘルムがルマルへ小さく話しかける。


「これで、この党の色が決まったな」


ルマルも静かに頷いた。


「ええ。政策を教えたのではありません。政治家としての姿勢を教えたんです」


この日、新共和国党には共通の文化が生まれた。それは、どんな政策よりも大切な理念。


「数字を見る前に、人を見る」


その言葉は、全国の支部へと受け継がれていくことになる。

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