若い技術者たち
工業学校の開校日。
朝早くから、多くの若者たちが校門の前へ集まっていた。
真新しい作業服を着た者。
親と一緒に来た者。
緊張した表情の者。
皆、それぞれ違う夢を抱いていた。
ベレは校門の前で、一人一人を見つめていた。
「こんなに集まったのね」
ラインが名簿を確認する。
「想定を超える応募でした。地方から来られた方も多いですね」
開校式が終わると、生徒たちは自己紹介を始めた。
最初に立ち上がった少年が頭を下げる。
「家が貧しくて、学校へ通えませんでした。でも、機械を勉強して家族を楽にしたいです」
大きな拍手が起こる。
次は少し年上の青年だった。
「父が町工場をやっています。工場を継いで、もっと良い製品を作りたいです」
さらに少女が手を挙げる。
「私は農業機械を作りたいです。村のみんなを助けたいんです」
その後も次々と夢が語られる。
「汽車を作りたい。船のエンジンを作りたい。共和国製を世界一のブランドにしたい」
私はその一つ一つを聞きながら、自然と笑みがこぼれた。
「うーむ……」
ルマルが不思議そうに尋ねる。
「どうしました?」
私は生徒たちを見つめたまま答えた。
「確かに色々な人が来るわよね。遠くから来てる子も多い。家が裕福じゃない子もいる」
しばらく考え込む。
そして、ふと思い出した。
「そうだ!領地でやってたじゃない」
ラインも思い出したように頷く。
「あっ」
私は笑顔になった。
「お昼は給食を出しましょう」
周囲が驚く。
「給食ですか?」
「ええ。お腹が空いてたら勉強なんてできないもの。家庭の事情で昼食を持って来られない子もいるでしょうし」
農業会社出身の議員も頷く。
「地元の農家さんから野菜を仕入れれば、農業支援にもなりますね」
ルマルは笑みを浮かべた。
「栄養も考えた献立にしましょう」
ヘルムは腕を組んで笑う。
「学校を作ったと思ったら、今度は給食か」
私は照れ笑いを浮かべる。
「勉強だけじゃ駄目なの。ちゃんと食べて。ちゃんと学んで。ちゃんと技術を身につける。それが未来への投資よ」
数日後。
工業学校の食堂では、温かい昼食が配られていた。
「美味しい!久しぶりにお腹いっぱい食べた」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
その様子を見ながら、私は静かに微笑んだ。
「技術を育てる前に、まず人を育てないとね」
工業学校は、技術者を育てる場所であると同時に、未来を担う若者たちを支える場所として、新たな一歩を踏み出した。




