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平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者:


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農業改革第一歩

工業学校の起工式から数日後。

新しく党へ加わった農業会社経営者が、嬉しそうに党本部へ飛び込んできた。


「ベレ議員!できました!」


私は顔を上げる。


「え?」


「トラクターの試作品です!」


その一言で、私は勢いよく立ち上がった。


「本当に!?」


首都郊外。


小さな町工場。

看板も古く、建物も決して大きくはない。

普段は壊れた車や農機具の修理を専門にしている工場だった。

工場長が少し照れくさそうに頭を掻く。


「ルー地方を失っちまったからなぁ。新品の部品なんて、そう簡単には手に入らねぇ」


工場の奥には、一台の試作機が置かれていた。


「だから、壊れた車の部品を使えるだけ使いました。エンジンも変速機も再生品です」


私はゆっくり機械の周りを歩く。


「十分ね」


工場長は驚いた顔をする。


「十分……ですか?」


私は笑顔で頷いた。


「最初から完璧なんて作れません。まず動くこと。そこから少しずつ改良すればいいんです」


工場長はほっとしたように笑った。


「その言葉で安心しました」


近くの畑。

農家や企業の担当者が見守る中、試験運転が始まる。


エンジンに火が入る。


「ブルルルル……」


少し煙を吐きながら、試作トラクターはゆっくり前へ進んだ。


畑を力強く耕していく。

農家の一人が目を丸くする。


「速い……牛よりずっと速いぞ」


別の農家も感心したように頷く。


「これなら一日で耕せる畑が何倍にもなる」


新しく加わった農業会社経営者も満足そうに笑った。


「まだ試作品です。でも可能性はあります」


私は畑を見つめながら呟く。


「農業も工業も同じね。人の力だけに頼る時代から、一歩進める」


試験運転が終わると、工場長が申し訳なさそうに口を開いた。


「ただ……故障も多いと思います」


私はすぐに答えた。


「それでいいんです。壊れた所を直す。また壊れたら改良する。その積み重ねが技術になります」


工場長は深く頷いた。


「ありがとうございます」



帰り道。

ヘルムが試作機を振り返る。


「まさか町工場が、ここまでやるとはな」


ルマルも微笑む。


「大工場だけが技術を持っているわけではありません」


私は嬉しそうに笑った。


「技術は、工場の大きさじゃない。作る人の知恵と工夫よ」


夕日に照らされた小さな町工場では、職人達がもう次の改良点について話し合っていた。

壊れた車から生まれ変わった一台の試作品。

その小さな一歩が、共和国の農業を変える第一歩になろうとしていた。

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