工業学校着工
数か月後。首都郊外。
広い更地には、大勢の人が集まっていた。
企業の代表者。商工会議所。職人達。教師達。
そして、多くの学生達。
壇上へ立った司会者が高らかに宣言する。
「これより、共和国工業学校の起工式を執り行います!」
大きな拍手が響く。
私は目の前に広がる土地を見つめ、小さく呟いた。
「本当に始まるのね……」
ルマルが静かに笑う。
「夢では終わりませんでしたね」
そこへ企業の代表者達が次々と前へ出る。
「我が社は工作機械を寄付いたします」
「こちらは旋盤を」
「溶接設備も提供しましょう」
「実習用のエンジンも準備しました」
さらに年配の職人が帽子を脱いで頭を下げた。
「学校ができるなら、俺達が教えます」
「技術は墓まで持って行くもんじゃありません」
その言葉に、会場から大きな拍手が起こった。
私は胸が熱くなるのを感じた。
「ありがとうございます!皆さんのお力があって、ようやくここまで来られました」
私は建設予定地を見渡しながら微笑む。
「これは建物を建てる工事ではありません。十年後の共和国への投資です」
「今ここで学ぶ子供達が、十年後には共和国の工場を支え、二十年後には新しい技術を生み出してくれる」
「だから私は、この学校が共和国で一番大切な建物になると思っています」
再び大きな拍手が響いた。
その様子を少し離れた場所から見つめる男がいた。
ウス・ライだった。
帽子を深くかぶり、手帳へ何かを書き込んでいる。
「ほぅ……ルー地方を失っても、やりやがったか」
建設予定地を眺めながら、小さく笑う。
「各企業から出資を受けて学校を造るとはな」
「政府主導でもねぇ。企業任せでもねぇ。両方を巻き込んだか」
ペンが止まらない。
「やっぱり面白ぇ政治家だ」
その日の夕方。
新聞社。
編集長が記事を読み終え、静かに頷いた。
「いい記事だ」
ウス・ライは最後の一文を書き加える。
『工場は機械を造る。学校は未来を造る。共和国は今、その未来へ投資を始めた。』
編集長は笑みを浮かべた。
「一面だな」
翌朝。
その記事は共和国中へ届けられる。
工業学校の建設は、一つの学校ができるという話ではなかった。
共和国が、未来への一歩を踏み出した証として、多くの人々の心に刻まれることとなった。




