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平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者:


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地方支部

党大会から数日後。党本部。

朝からラインが慌ただしく廊下を行き来していた。


「またですか?」


職員が苦笑する。


「今日だけで二十通目です」


私は机いっぱいに積まれた封筒を見て目を丸くした。


「全部、視察依頼?」


ラインは首を横に振る。


「いえ。今回は少し違います」


私は一通目を開く。


『私達の町にも党支部を作りたいと思います。』


二通目。


『地方でも活動したいので、ご指導ください。』


三通目。


『仲間を集めました。正式な支部として認めていただけませんか。』


私は次々と手紙を読み進める。


「これ……全部?」


「はい」


「北部、西部、港町、農村部……全国からです」


私は思わずルマルを見る。


「どうしましょう?」


ルマルは笑みを浮かべた。


「嬉しい悲鳴ですね」


そこへ、ヘルムも入ってきた。

机の上の手紙の山を見るなり吹き出す。


「本部だけじゃ無理だな」


私は頷く。


「十人じゃ、とても回り切れないわ」


しばらく考え込んだ後、黒板の前へ立つ。


「なら、地方の皆さんにもお願いしましょう」


私は共和国の地図を広げた。


「支部を作ります」


部屋が静まり返る。

ラインが尋ねる。


「支部ですか?」


「ええ」


「本部だけでは全国は見られません。だから、各地域で活動していただくんです」


農業担当の議員が頷く。


「地域ごとの問題は、地域の人が一番知っています」


「その通りです」


私は地図に印を付けていく。


「まずは北部、次は港町、工業地帯、農業地帯、無理に一気には広げません!活動できる所から始めましょう」


商人出身の議員も笑顔になる。


「支部同士の情報交換も必要ですね」


教師出身の議員は手帳を開く。


「活動指針も作りましょう」


ルマルは静かに頷いた。


「理念がぶれないようにしなければなりません」


私は黒板へ大きく書いた。


『現場を知る』


『数字を見る』


『国民の声を聞く』


「この三つだけは、どの支部でも共通です。難しい言葉はいりません。この党らしさは、現場にあります」


その日の午後。

全国へ返信が送られた。


『地方支部設立を認めます。』


『一緒に共和国を良くしていきましょう。』


数日後には、各地から設立報告が届き始める。


「北部支部、発足しました!」


「港町支部、活動開始!」


「農村支部、本日設立!」


党本部の壁には、共和国地図が貼られていた。

最初は首都だけだった印が、一つ、また一つと増えていく。その地図を見つめながら、私は静かに微笑んだ。


「十人しかいない党だったのに……」


ヘルムが隣で笑う。


「もう違う。本部は十人でも、志を同じくする仲間は全国にいる」


私は力強く頷いた。


「そうね。ようやく、本当に全国政党への第一歩ね」


小さな政党として始まった新共和国党は、この日、全国へ根を張り始めた。

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