議会のざわめき
数日後。
議会は朝から妙な空気に包まれていた。
議員達が廊下でひそひそと話をしている。
「聞いたか?」
「ああ。あの古株議員が辞職したらしい」
「理由は?」
「体調不良だとさ」
しかし、その言葉を信じる者は少なかった。
「いや、違うらしい」
「賄賂の調査が入ったとか」
「会計監査院が動いたらしいぞ」
「警察も調べているって噂だ」
噂は噂を呼び、議会中へ一気に広がっていく。
「誰が情報を流した?」
「新聞社か?」
「内部告発じゃないか?」
「まさか仲間が裏切ったのか?」
誰も真相は知らない。
ただ一つ確かなのは、一人の古株議員が議会を去ったという事実だけだった。
その頃、党本部。
ラインが新聞を持って部屋へ飛び込んできた。
「お嬢様!辞職です!」
私は顔を上げる。
「え?」
新聞には大きく書かれていた。
『古株議員、体調不良を理由に辞職』
私は驚きながら記事を読む。
「本当に辞めたの?」
ルマルは静かに頷く。
「そうみたいだな」
そこへヘルムも新聞を片手に入ってきた。
「一人目だ」
ラインが続きを話す。
「辞職に伴い、欠員が一名出ました」
私は首を傾げる。
「それで?」
ラインは笑顔になる。
「前回の選挙で次点だった候補者が、繰り上げ当選になります」
私は一瞬きょとんとした。
そして次の瞬間。
「やったー!」
勢いよく立ち上がった。
「仲間が増える!」
部屋中に明るい声が響く。
「これで九人!一人増えた!」
私は思わず両手を挙げて喜んだ。
ルマルは苦笑する。
「そこを喜ぶか」
ヘルムも笑う。
「普通なら相手の辞職を気にするところだぞ」
私は満面の笑みで答えた。
「でも仲間が増えるのよ!今まで八人で頑張ってきたんだから!」
ラインも微笑んだ。
「新しい仲間が来れば、視察も分担できますね」
「そう!」
私は黒板へ近付き、大きく数字を書き換える。
8 → 9
「少しずつだけど、前に進んでる!」
その無邪気な姿を見て、ヘルムは肩をすくめる。
「相変わらずだな」
ルマルも静かに笑った。
「だから人が集まるんでしょう」
一方その頃。
議事堂では古株議員達が顔をしかめていた。
「一人辞めただけのはずだ」
「なのに、あの党の議席が増えた……」
「嫌な流れだ」
誰かが小さく呟く。
「まさか……これも計算だったのか?」
もちろん、その答えを知る者は誰もいない。
党本部では、新たな仲間を迎える準備が始まっていた。
ベレは窓の外を見ながら、嬉しそうに微笑んだ。
「ようこそ!九人目の仲間さん」




