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平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者:


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釈放命令

さらに数日後。共和国政府庁舎。

法務大臣、内務大臣、警察長官らが再び集まっていた。

机の上には新聞の切り抜き。

支持率の推移。各地から届いた陳情書。

そして、毎日のように増え続ける釈放を求める声。


法務大臣が静かに口を開く。


「もう限界です」


内務大臣も深く頷いた。


「これ以上拘束を続けても、政府への批判が強まるだけでしょう」


警察長官も書類を閉じる。


「現場としても、これ以上勾留を続ける理由は見当たりません」


部屋はしばらく静まり返る。

やがて法務大臣が決断した。


「……釈放しましょう。これ以上は逆効果です」


誰も反対しなかった。

こうして、ヴィーダーベレ議員の釈放が正式に決定した。


翌朝。牢屋の扉が開く。

看守がいつもより明るい表情で立っていた。


「ヴィーダーベレ議員」


「はい」


「釈放です」


私は一瞬だけ固まる。


「……本当に?」


看守は笑った。


「本当です」


私は思わず大きく伸びをした。


「やっと出られる!娑婆に出られるって、こういう気分なのね」


ヘルムが苦笑する。


「その言い方を十五歳の娘がするな」


私は笑いながら部屋を見渡した。

机。椅子。本。棚花。山積みになった本。

そして、書き上げた政策ノート。


「さてさて」


私は袖をまくる。


「ここも引っ越し準備しないとね」


看守が吹き出した。


「普通は牢屋を出られることを喜ぶんですが、部屋の片付けを始める人は初めて見ました」


私は笑顔で答える。


「借りた物はちゃんと返さないと」


ヘルムも呆れながら笑う。


「最後までお前らしいな」


私は本を一冊ずつ箱へ入れていく。


「これは返却。これは出版社へこれは党本部ね」


看守も手伝い始める。


「意外と荷物がありますね。差し入れが多かったですから」


花も大切そうに箱へ入れる。

子ども達の絵。応援の手紙。

全部まとめて抱えた。私は小さく呟く。


「ありがとう!皆のおかげで頑張れた」


やがて荷物をまとめ終え、牢屋の扉の前へ立つ。


看守が敬礼した。


「短い間でしたが、お元気で」


私は笑顔で頭を下げる。


「お世話になりました」


そして、一歩外へ出た。


その瞬間――


「ベレ議員だ!」


「出てきたぞ!」


「お帰りなさい!」


「頑張れー!」


大歓声が響き渡る。

警察署の前の広場は、人で埋め尽くされていた。何百人もの支持者。そして新聞記者達。

カメラのフラッシュが一斉に光る。


ウス・ライも最前列で帽子を押さえながら笑っていた。


「やっと主役の登場ですな」


私は思わず立ち止まる。


「えっ……こんなに?」


ヘルムが肩を叩いた。


「覚悟しろ。もう、お前はただの十五歳じゃねぇ」


私は群衆を見つめながら、小さく息を吸った。

静かな牢屋を出たその日。

ベレは、さらに大きな舞台へと歩み始めるのだった。

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