広がる支援
勾留生活も二週間が過ぎようとしていた。
朝。牢屋の扉が開く。
看守が両手いっぱいに荷物を抱えて入ってきた。
「議員さん。今日の分だ」
私は首を傾げる。
「今日の分?」
机の上へ置かれたのは、一輪の花だった。
続いて封筒。さらに小さな包み。
まだ終わらない。別の看守まで入ってくる。
「こっちもあります」
私は思わず苦笑した。
「そんなに?」
最初の包みを開ける。
中には手紙が入っていた。
『酒場では驚きました。でも応援しています』
別の手紙。
『病院へ来てくださったこと、一生忘れません』
さらに。
『工場へ来てくれてありがとうございました』
一通。また一通。机の上は手紙で埋まっていく。その中に、小さな紙が一枚混ざっていた。
色鉛筆で描かれた拙い絵。議会の建物。
その前で笑っている女の子。
下には大きな文字で、
『がんばって』
私は思わず微笑んだ。
「可愛い……」
ラインが静かに言う。
「学校の子ども達からのようですね」
別の包みには花が入っていた。
「これは?」
看守が答える。
「名前は書いてありません」
「応援しています、とだけ」
部屋の隅には花瓶が置かれ、少しずつ花が増えていく。
さらに午後、また荷物が届く。
紅茶。焼き菓子。栞。手作りのしおり。
本を読むための眼鏡まで入っていた。
私は思わず笑ってしまう。
「何だか……牢屋じゃないみたい」
看守も頭をかいた。
「正直、俺も初めて見る光景です。普通は差し入れなんて、こんなに来ません」
別の看守も苦笑する。
「毎日ですよ。花、手紙、子どもの絵、差し入れ、置き場所に困るくらいです」
私は静かに手紙を読み返した。
一人一人の文字。一枚一枚の絵。
そのどれもが温かかった。
ヘルムがその様子を見ながら微笑む。
「お前が歩いてきた証拠だ。工場、学校、病院、全部、自分の足で回った」
私はゆっくり頷く。
「だから……私じゃなくて、皆が応援してくれてるのは、共和国が少しでも良くなってほしいって気持ちなのね」
その日の夕方。
看守がまた一輪の花を持ってきた。
「また届きました」
私は苦笑する。
「本当に毎日ね」
看守は笑いながら答えた。
「議員さん。こんな牢屋、もう二度と見られないでしょうな」
私は窓際に飾られた花を眺め、小さく微笑んだ。冷たい石造りの牢屋だったはずなのに。
今では花と手紙に囲まれた、不思議と温かい場所になっていた。




