表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
154/212

酒場の大演説

ヘルムは大きくため息をついた。


「ここからが問題なんだ……」


私は首を傾げる。


「まだ何かあったの?」


「……あった」



店内の一人の男が鼻で笑った。


「けっ。たかだか八人の政党だろ?何も出来ねぇよ」


私はその男をじっと見つめる。


「……」


ヘルムは嫌な予感しかしない。


「ベレ……座れ」


しかし、もう遅かった。

私は椅子から勢いよく立ち上がる。


「あー?今発言した、そこの図体だけデカくて頭空っぽ!」


店内が一瞬静まり返る。男も目を丸くした。


「なんだと?」


私は指を差す。


「あんた!いきなりその図体になったの?違うでしょ!おっぱい飲んで!ご飯食べて!少しずつ大きくなったんでしょ!私達だって同じ!まだその段階なんだよ!」


店内から「おぉ……」という声が漏れる。

男は顔を真っ赤にする。


「このガキ!」


その瞬間。


パンッ!!


乾いた銃声が店内へ響いた。

全員が固まる。

天井から木くずがぱらぱらと落ちる。

ヘルムは頭を抱えた。


「げっ……」


私は拳銃を天井へ向けたまま叫ぶ。


「私の話を聞けーーー!!」


店中が静まり返る。


「誰だって!最初から上手くいけば苦労しねーんだよ!!だから!今出来ることを、一歩ずつやってんだ!!」


誰も声を出せない。

私はそのまま演説を続ける。


「それより!お前ら!今から政府に抗議行くぞ!!」


店内がざわつく。


「この国の心臓部を取られて!何も出来ねぇ軟弱政府に抗議だ!!」


一人の客が立ち上がる。


「お、おう!」


別の客も続く。


「そうだ!国として抗議くらい出来るだろ!」


さらに奥から声が飛ぶ。


「それにな!あんな簡単にルー地方が落ちるか?軍だって、まだ残ってるはずだ!」


「売国奴がいたに違いねぇ!」


店内は一気に熱気に包まれる。


「そうだ!」


「行くぞ!」


「政府へ!」


私は拳を突き上げた。


「今こそ!政府をぶっ飛ばせーーー!!」


「おーーーーーっ!!」


酒場中が大歓声に包まれる。


その一方で。

ヘルムは静かに額を押さえていた。


「終わった……」


ラインは青ざめている。


「ヘルムさん……」


ヴィルも顔を引きつらせる。


「誰ですか……お嬢様に拳銃を持たせたのは……」


ヘルムはゆっくり自分を指差した。


「……俺だが、発砲を止める暇がなかった」



ウス・ライが腕を組んで立っていた。

肩を震わせながら必死に笑いを堪えている。


「ぶふっ……いやぁ……話題性には尽きませんなぁ」


手帳を開きながら呟く。


「酒場で発砲、そのまま即席演説。挙げ句の果てには政府へ抗議行進……普通の政治家なら一面で叩かれる。でも、あの子なら……」


口元を押さえながら笑う。


「今日の新聞、一面は貴女の事で持ちきりですよ」


そして、その直後。

酒場へ駆け付けた警官隊によって、ベレ達は全員まとめて保護――もとい、連行されることになった。


ヘルムは話を終えると、大きく息を吐いた。

私は牢屋の中でぽかんと口を開ける。


「……私、本当にそんなことしたの?」


ヘルムは即答した。


「した。しかも満面の笑みでな」


私は両手で顔を覆った。


「……お酒って、怖いわね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ