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【番外編追加】国宝級天才の最愛 〜四葉を手放せない若き侯爵は、恋の進め方だけが分からない  作者: 有原 詩名美


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第14話 四葉のクローバー

噛み合っていない。

何かが、決定的に。


トリフォニアは、そこに気づいた。

気づいたが…では、どうすればいいのか。


トリフォニアが、足元に目を向ける。

足元でうずくまるこの男の姿だけ見ると、数々の偉業を成し遂げた、国宝級の天才だと思う者がいるだろうか。


「ねえ、ルーク」

トリフォニアは、そっとルクセインの肩に触れる。

ルクセインは、反射的に顔をあげた。


かさっ。


何かが、ルクセインの胸元から落ちる。

それを拾い上げ、

「四葉のクローバーのしおり?」

トリフォニアが呟く。

「お守りなんだ。幸運のお守り」

顔をほころばせたルクセインが手を伸ばす。

「…そう、大事なものなのね」

しおりを渡す。

「決まってるじゃないか!ニアがくれたものだ!」

「…………私?」

「…まさか、覚えてないの」

殺気を感じる。

覚えていません…とはとても言い出せない。


必死に記憶を辿る。

クローバー…四葉。

私があげたもの…。

ならば、幼い頃だろうか…。

(…あっ)

遠い日の記憶と繋がる。

「ルークの三葉と交換した…」

その言葉に、ぱっとルクセインの表情が明るくなる。

「うん、それ」

ルクセインはほっとしたように息を吐いた。

「良かった。覚えててくれた」


遠い日の記憶が蘇る。

あれは、まだ7歳頃だった。

二人で野原を駆け回り、四葉探しの競争を始めた。

どちらが言い出したのか分からないが、そういう事が昔から得意だったことを考えるとトリフォニアの提案だったかもしれない。

「あった!」

先に見つけたトリフォニアは、得意げにルクセインに見せた。悔しそうな顔をするルクセインは、それから暫く一所懸命に探していた。

でも、見つかるのは三葉ばかり…。

「やっぱり見つからない…」

泣きそうな顔でそう漏らしたルクセインを見て、トリフォニアまで悲しい気持になった。

勝ったはずなのに、ちっとも楽しくない。

「じゃあ、それと交換して!」

ルクセインが握る三葉と、トリフォニアが見つけた四葉を交換した。

「でも、それ四葉じゃないよ?」

「いいの。ルークが一所懸命探したものでしょ?」

トリフォニアは、嬉しそうに三葉を受け取った。


過去から今へ、意識が戻る。

過去の記憶と共に、再びルクセインに目を向ける。

「…え、待って」

重大な事に気付く。

「あれを…あの時の四葉をずっと持ってたの!?10年以上!?」

恐れおののく、トリフォニア。

「当たり前だろ、あの日からニアは特別大事な女の子になったんだから」

なぜか自慢げにルクセインが言う。


その姿に、少し苛立った。


「だったら…だったらなんで、婚約断ったのよ」

思わず口に出す。

「それに、王女殿下との婚約はどうなるの!?」

ルクセインは、眉をひそめこう言った。

「それなんだけど、何の話だ?俺と王女が婚約って?俺はずっとニア一筋なんだよ。ニアと婚約する為に頑張ってるのに、有り得ないんだけど?」


その顔は、本当に不可解で理解出来ないといった顔だった。


「だって、いつも仲良さそうに笑い合ってたじゃない。みんな、お似合いだって。婚約間近だって噂もあったし……交流会の時だって、普段は笑わないのに王女殿下と楽しそうだったわ」

訳がわからない。なぜか目の奥が熱くなり、声が震える。

「あんな顔、もうずっと私には見せたことがなかったじゃない……」

「ああ……あれは」

ルクセインは、こめかみを押さえた。

「ニア。あの日、殿下から聞かされなかったのか?俺と殿下の会話の内容」

「え?」

「そうか……知らなかったのか」

ルクセインは大きくため息をついた。


「まず言っておく。俺と王女が婚約することは絶対にない。」


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