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第二百十三話 再びの対面

梨奈の父親を見送った後、看護師から渡されていた残りの書類をテーブルの上に広げ、中断していた梨奈の入院に必要なものについて梨奈の母親と話し合った。


空いた梨奈の父親が座っていた席に移動した梨奈の母親と相談した結果、予め梨奈の母親に言われて用意していたものだけで今日のところは間に合いそうだと分かり、車に積んだままになっていた収納ケースに仕舞ってあったそれらを取りに行こうと立ち上がった時、梨奈の父親が入院の手続きを終えて戻って来た。




車から収納ケースごと持って病室へ戻り、梨奈の両親と一緒に荷物を片付けている途中で病室へ案内してくれた看護師が、『井川先生からお話があります』と呼びに来た。


梨奈の両親と共に看護師の後について行くと、病室がある同じ階のエレベーターホールの近くまで連れて行かれた。




そこにはナースステーションがあり、その横に設けられていたドアを開けて中へ入るように促された。


梨奈の両親に続いて中へ入るとそこは小部屋になっており、昨夜、達雄先生と一緒に案内されて香田医師と井川医師に面談した部屋と同じ造りになっていた。


部屋の中に置かれていたものも長テーブルと椅子と、テーブルの上のデスクトップのパソコンが一台だけで昨夜の部屋と代わり映えしなかった。


ただ、部屋の中に一箇所だけ設けられていた窓が光の弱まった夕焼けを映して赤く染まっていたことと、部屋の壁の向こう側から聞こえてくる赤ちゃんの泣き声が昨夜は殺風景に感じた部屋の印象を変えていた。




部屋の中には出入口のある壁と垂直に交わる壁に出入り口とは別のドアが設けられ、そのドアと平行になるように長テーブルが置かれていた。


長テーブルを間に挟み、椅子がドア側に一脚とその対面に三脚用意されていた。


案内してきた看護師に椅子を勧められて、部屋の奥の方から梨奈の父親と母親が座り、俺は出入口に近い梨奈の母親の隣に座った。




俺たちが席に落ち着いたのを見届けた看護師が、『先生を呼んできます』と言って出入り口とは別のドアから出て行きドアが閉まった瞬間、俺は思わず大きく息を吐き出していた。




「お待たせをして、すみません」


部屋の中へ入ってきた井川医師が、俺たちを待たせたことに謝罪の言葉を口にしながら、長テーブルを挟んで一脚だけ置かれていた椅子に腰掛け、昨夜と同様に俺たちを案内してきた看護師が閉じたドアの前に立った。




「早速ですが、こちらの方たちは……」


「私たちは梨奈の両親です。連絡を受けてすぐに出て来たのですが、何分にも距離があり、到着が遅くなってしまいまして、ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした」


井川医師が俺に向けて梨奈の両親の身元を質したのに対して、俺が応えるより早く梨奈の父親が自分たちの身元を明かした。




梨奈の父親の言葉を受け、それを視線で確認するように俺の方を見た井川医師に『間違いありません』という風に頷くと、井川医師の目元が緩み弧を描いた。


昨夜とは異なり、スカートの上に丈の長い前開きの淡いピンク色の白衣を纏っていたこともあり、昨夜のような厳しい雰囲気が薄れて見えた。


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