4.扉を開けた先に
『ガタガタガタッ』
明るい未来を思って勢い良く開けた扉は中々開かなかった。
どうやら、先ほどの大地震の影響で立て付けが悪くなった様だ。
「困ったな、、」
困った彼は扉に掌を当てた
3.2.1
心の中でカウントダウンすると同時に掌に力を込めた。
『ドバンッッ』
鈍い音を立てて勢い良く扉が開いた。
眼前に展開する光景にヨコヤマリュウイチは驚いた。
彼の家はマンションの9階であり、玄関先の廊下から町が良く見えた。
町には至るところから黒煙が登っており、町全体が焦げ臭かった。
遠くから人の避難を呼び掛ける声が聞こえる。
自分が家の中で悠長に調べ物をしている間、町は相当荒れていたようだ。
「これは家で大人しくしておいた方がいいか?」
少し悩みながら町を眺めていて彼は違和感に気づいた。
「もう消化活動が終わってる?」
町全体は煙が上がっているだけでメラメラと燃え上がる炎自体は見えない。
彼が異能の検証をしていたのは大体4時間程、
今が昼の13時と考えると、いくらなんでも放火から消化まで早すぎるのだ。
考えていても埒が明かないので、とりあえずアパートのエントランスを抜けて町に出てみた。
途中エレベーターを使おうとしたが、先ほどの地震で止まってしまったらしく、階段で降りる他無かった。
家の外は昔やった崩壊都市の様になっていた。
道路はひび割れ、ある家は焼け焦げ、ある家は瓦礫となり崩壊していたり、なにより、町の人々の気配がほとんど無かった。
おそらく、どこか安全な場所避難したのかこの瓦礫の中に埋まっているのだろう。
いたたまれない気持ちになりつつ町を歩いていると道の先の方に人影が見えた。
何やらまだ綺麗に壊れず残っている家に向かって手を合わせている様だ。
この騒動が起きてから、初めて人に会うので安心感を覚えつつ向かっているとすぐに気づいた。
様子がおかしい、手を合わせている訳じゃない?
「アツイッッッ!!」
尋常じゃない熱さを感じると、その原因はすぐ分かった。
「火炎師、、、?」
目の前の男は手を合わせて涙ながらに家族の無事を祈っていなかった。
それは、他人の家に向け放火を行う火炎師だった。
彼は両腕を家に向け伸ばすと、手から迸る炎をメラメラと送り続けていた。
何より恐ろしいのはその表情。
ケラケラとまるで積み木で遊ぶ子供の様に笑い放火しているのだ。
『アッヒャッヒャッヒャッ!』
すぐに悟った、これは近づいてはいけない人種だと。
だが、彼が悟るより火炎師がリュウイチに気付く方が早かった。
『アァ?』
彼は腕を家に向けたまま、ぐるんと首を傾けるとニヤニヤと顔に満面の笑みを浮かべながらこっちを見てきた。
『お前もギフテットハイか?』
リュウイチには何のことか分からなかった。
「悪いが何を言っているか分からない」
そう返すと奇人者はニタァァッと気味の悪い笑みを浮かべながら語り掛けてきた。
『今朝からニンゲンの中に超能力を扱える様になる者が現れたのは知ってるだろう?
これは、神から選ばれた者にのみ許される祝福なのさぁ
人々はこの能力をギフテットと呼び崇める
ツ マ リ !!
与えられし者、俗に言うギフテットはこの世を自由に遊び回れる権利を得たのさ!』
ツラツラと方便を述べながら彼の喋り口調に合わせて手から出る炎は『ゴゥゥッッッ』と強さを増した。
「やっぱり、何を言っているか良く分からんが
お前が異常者って事は分かったよ。」
彼はそう言うと両手を異常者に向けた。
『ヒュューーー』
腕を構えると彼の背中から異常者に向けて優しい風が吹き抜けた。




