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孤独な風魔術師の英雄譚  作者: 鼻からぼた餅


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3/5

3.検証と進展

散らかった部屋野中で彼が取った行動は手当たり次第検証する事だ。

まずは自分に何が出来るのか確かめる。

最初に試したように掌から風を出すのは容易だった。

強さはうちわで風を扇いだくらいの強さから、人間一人を吹っ飛ばせるほどの強さまで調整出来た。

強さを細かく調整する事は難しかったが、なにか物を吹っ飛ばそうと考えると物の重さによって風の強さを上手く調整出来た。

ここで、彼が気になった事は三つある。

1.どれだけ強く風を起こしても身体に反動は無かった。最大風力で掌から風を出した時も身体には何の負担もなかった。これは、昔学校で習った作用反作用の法則を無視している。

2.力を使うと身体がとても疲れる。

これも不思議な感覚だが風を出すとその風力によって身体がダルくなる。イメージはランニングした後の用な物だ。強い風力を起こす程身体はキツくなった。最大風力の場合、肩で息をする程に疲れた。

3.掌以外から風は出せなかった。最初は、足や脇から風が出せれば飛行出来るのではないかと試して見たがこれは上手く行かなかった。次に口から風の咆哮を出せないか、お尻からも、、試したがどれも結果は同じだった。

これらの検証結果の他に分かった事もある。

風以外を出すことはどう頑張っても無理だった。

試しにイメージしやすい炎を出そうとイメージしてみたが何も起きなかった。

一通りの検証を終えた後、次にスマホでkwitterで超常現象について調べてみた。

すると、同じと思われる症状を訴える人々がちらほらと散見した。

『朝、暑いマクガップを持ったら手から水が吹き出た』だの、

『朝、子供がヒーロー物を見ながら怪獣の動きを真似ると口から火を吹いた』だの、

どれも昨日までなら冗談としか思えない内容だった。

だが、それとは別に何かおかしいと思った。

やたら、炎や水が出たという人が多いのだが風が吹いたとkweetするものは1人も居なかったのだ。

1人のこの超常現象についてまとめているアカウントによると、


本日未明、魔法を使う人間が世界各地に現れた。

彼らをアメリカでは既にギフテットと命名し呼んでいる。以下略称をギフテットとする。

ギフテットは下記2種類に分類できる。

炎を扱う火炎師

水を扱う水流師

ギフテットには共通点は無い、幼児からお年寄りまで幅広い層で見られている。

ギフテットの割合はおおよそ3万人に1人であり、アメリカ政府は現在ギフテットを保護する動きを見せている。


一通りの情報を精査した後、彼は部屋のカーテンを腕を大きく振り風を起こして開けた。

「はぁ、これは面倒な事になったな」

部屋の中でそう呟く彼は言葉とは裏腹に、どこかこれからの未来に期待をしていそうな目をしていた。

*************************************

部屋の中で能力の検証、情報の精査を終えた彼は家を出る準備をしていた。

「取り敢えず町に出よう、他のギフテット動きの確認したいのと、家で検証出来なかった事を検証したいしな」

そう思いながらインスタントラーメンにお湯を注ぎ、テレビを点けた。

時刻は11時50分。

先ほどネットで調べた情報と同じ内容をニュースで話すアナウンサーをつまらない目で見ながらラーメンを食べていると

『ドゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッ』

経験したことの無いような揺れが起きた。

揺れで机から落ちたカップラーメンを咄嗟に風の力で浮かそうとする。

出す風の出力調整を誤ったかカップラーメンは机に散乱した、

今度はガラスのコップが落ちそうだ。

机から落ちた瞬間コップを浮かそうとするがこれもダメ。

速攻に諦めをつけると、すぐに机の中に潜り込んだ。

「こんな日にこんな大きな地震?何か嫌な予感がするな」

様々な憶測を立てる中冷静な彼とは対称的にテレビは倒れ嫌なと音を鳴らし、お風呂場の方でも『ガタンッ』と大きな音が鳴った。

目の前の検証により散らかったリビングも更に散らかりを増していく。

最も、今はそれを気にしている場合では無いので机の下で安全を確保する。

揺れが収まるのを待つこと10数分ようやく鳴り響く地響きが終わりを告げた。

ゆっくりと机から出ると机の上に散乱した(少し床にも溢れた)カップラーメンの麵とスープに向けて手から『ブォォォ』と風を出して容器にまとめた。

「せっかく手に入れた魔法の力で最初にやる事カップラーメンの掃除かよ、、」

どこか虚しい気持ちになりながら、部屋の他の片付けは明日の自分に任せると決め彼は玄関の扉に手を掛けた。

つまらなかった人生に明るい未来が開ける様な気がした。

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