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《 卯月に眠る 》



 花が咲きほころび、


 虫が躍動的に動き出し、


 鳥が声高らかに歌う、


 多くの命が目覚める始まりの春。




 始まりの季節なのに、


 大切な愛する者達は、


 満身創痍で傷んだ痛みに泣いている。




 己の痛みには耐えてきた。


 耐える事が出来て生きてきた。




 けれど大切な者の痛みは、


 何故これほど耐え難く苦痛なのだろう。


 身を引き裂かれ、


 心を捩じ切られるような苦しみ。




 己の涙は、


 哀しみと怒りで内側では熱く滾り、


 瞼から溢れた途端に冷たく凍り、


 頬に張り付く一粒の氷になる。




 大切な愛する者達の、


 痛みを緩和する闘いに負けない為に、


 己の心を眠らせる。


 久遠の眠り。




 氷の涙を頬から引き剥がし、


 口に放り込み咀嚼して飲み下す。




 心眠りながら、


 大切な愛する者達に笑顔でいられるよう、


 己に言い聞かせて。




 暖かな卯月に眠りに就く心。



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