Ep.21ーハクー
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「リューが回復魔法を掛けようとした時に跳ね返したじゃん」
「あれはただ嫌だと思ったからで・・・」
「いや、魔法だった」
「じゃあ私が弱かったのは・・・」
一般的に獣人は魔法と相性が良くないといわれているが、それは彼らが身体能力に特化しているからだ。だけど稀に魔法が得意な獣人が存在する。特に理由は分かっていないが、環境や血筋によるのだろう。だけどそういった獣人は身体能力が周りに劣る傾向がある。だからただの弱い子として認識されることもしばしばだ。
「そういうことだろうね」
「そんな・・・」
「だからとりあえず、まだ生きる道はあるってこと」
そう言うと、その子は自分の手を見つめた。
「まだ生きる道がある・・・。まだ、生きてく方法はあるんだ」
「まだ生きれるんだ。せっかくだし生きてみたら?」
どうせいつかは死んじゃう命なんだから。
彼女にとって死ぬことはすごく容易い。なら絶望のまま死ぬより、本気で生き延びた達成感があったほうが良いはず。
「・・・そう、する。もう少しだけ、生きてみる」
彼女がそう言った瞬間、自分の中に広がったのは安堵。そして清々しさだった。
「ならよかった」
「ハク!ちょっと来てくれないかしら!」
突然リューが慌てて呼ぶ声が聞こえた。緊急事態なら先に魔力が飛んでくるはずだから、襲撃とか、そういった類ではないはずだ。
「じゃあね」
あ、そういえば。
「これ、あげる」
懐から三個のパンを取り出してその子の隣に置いてその場を立った。。
「じゃ」
「あ、あの!」
「なに?」
「私フーカっていうの!次会うまで覚えてて!」
「機会があればね」
私たちと比べたら、獣人の命は短い。広大な世界でもう一度巡り合えるかは天の采配次第だけど、ちょっと期待してみるのも悪くないかもしれない。
「ただいま、どうかした?」
冒険者ごとに割り当てられたテントに戻ると、リューが資料に囲まれてにらめっこをしていた。さっき回収した分だ。
「ねえ、このメモなんだけど」
不死なる存在。
そこにはそう書かれていた。
「ネオン・テロス・・・。エルフ神話に出てくる預言で言われている存在だ」
「ええ、らしいわね」
エルフ神話は別名隠された神話。一般的に知られている神話の知られざる部分だと言われている。ただ、元よりあやふやな上、エルフたち自身があまり固執していないので、ただの憶測説のほうが大きい。
「ネオン・テロスが不死なる存在っていうのは?」
「ちょっと待ってちょうだいね。ええと・・・、そこで預言を参考に・・・━━」
リューは膨大な文字の中から、目当ての単語を探してひたすら目を動かしている。
「あ、あったわ。エルフ神話にあるオリジーネの預言と照らし合わせたらしいわ」
預言。随分と不確かなだな・・・。
「ねえ、ハク。私、そろそろ調べてみてもいいと思ってるの。私たちのこと」




