Ep.20ー白虎の少女ー
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「父と母は私の目の前で殺されて、兄と姉も戦士として散っていって・・・。私だけが生き残った」
「だからこんなとこまで来たんだ」
かなり重い話をしたはずなのに、さらっと流された。他の人には同情か憐れみの目しか向けられなかったのに・・・。みんなさ似たような言葉で慰めに来るのに、この人はそれをしない。
「帰るの?北に」
帰る。
果たして帰るところなどあるのだろうか。家族はいなくなって、村も散り散りになった。
「もう帰るところなんてないの」
「だから死のうとしてたんだ」
「ッ・・・」
なんで、なんでバレたの・・・!?
「今までは面倒を見ないといけない小さな子たちがいた。だけど今はその子たちも救助されたから、もういい。そういうことじゃないの?」
図星だ。
「だって・・・、だって!もう生きている意味なんてないんだもの!」
ろくに考えずに言い放った言葉。だけどこれが自分の本音な気がした。
「大切だったものはもうなにも残っていなくて、挙句の果てにはこの惨状!これ以上見苦しくなりたくはない!一生苦しく生きるのなら、このまま死んじゃったほうがマシなの!」
「そう・・・」
「うッ、コホッ、ケホッ」
ハアと息をつく。弱ったこの体には、いきなり声を出すのは酷だったみたいだ。
それでも激情は次から次へと溢れてきて、何を言いたいのかもわからなくなってくる。
「どうせあなたには何もわかんないでしょ!?みんなそう!泥水の味も知らなさそうな顔で、大丈夫だよとか、今は辛いかもしれないけどとか!知った風に言わないでよ!」
「そうだね、知るわけない」
「えっ・・・」
思わず呆けた顔になってしまい、さっきまでの勢いはどこに行ったのか、どっと疲れが襲ってきた。
「だって私はあなたじゃないもん、知るわけないよ」
「・・・はあ。ヒステリックに叫んでたこっちがバカみたい。そうよね、わかってもらうのって難しいんだね」
「まだ死にたい?」
「うん、死にたい」
「なんで?」
「もう何もないから」
大事なものは失ってから気付くとはよく言ったものだ。それに気づいてしまった時、限りのない絶望に叩き落された。生きている意味なんて考えたことなかったけど、死ぬ意味だけは考えられた。死ねば親父たちに会えるかもしれない。死んだら姉さんや兄さんに撫でてもらえるかもしれない。
「じゃあなんで死ななかったの?」
「なんで・・・」
「餓死は苦しい死に方なんだよ。なんでそこまで死を願っているのに、一思いに首を搔き切らなかったの?」
「自死は不名誉な死に方だから・・・」
「餓死はもっと惨い死に方だと思うけど?」
「・・・」
何も言えずにいると、その人ははあっとため息をついた。
「本当は怖いんじゃないの?死ぬのが」
怖い。そうなのかもしれない。
生きてさえいれば、もう一度あの温もりに出会えるかもしれない。どこかで奇跡が起きるかもしれない。その可能性にしがみついていたいがあまり諦められないのだ。
「そうなのかもしれない」
「じゃあ死ななかったらいい」
「でもここからどうしろと?」
「さあ、それは知らない」
なんて無責任な。
「でも魔法を使えるっていうだけで、リーチはあると思うよ」
「魔法?私が?」
「うん、気づかなかったの?」




