表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/23

Ep.20ー白虎の少女ー

お読みいただきありがとうございます。

「父と母は私の目の前で殺されて、兄と姉も戦士として散っていって・・・。私だけが生き残った」

「だからこんなとこまで来たんだ」


 かなり重い話をしたはずなのに、さらっと流された。他の人には同情か憐れみの目しか向けられなかったのに・・・。みんなさ似たような言葉で慰めに来るのに、この人はそれをしない。



「帰るの?北に」


 帰る。


 果たして帰るところなどあるのだろうか。家族はいなくなって、村も散り散りになった。


「もう帰るところなんてないの」



「だから死のうとしてたんだ」

「ッ・・・」



 なんで、なんでバレたの・・・!?


「今までは面倒を見ないといけない小さな子たちがいた。だけど今はその子たちも救助されたから、もういい。そういうことじゃないの?」



 図星だ。



「だって・・・、だって!もう生きている意味なんてないんだもの!」


 ろくに考えずに言い放った言葉。だけどこれが自分の本音な気がした。



「大切だったものはもうなにも残っていなくて、挙句の果てにはこの惨状!これ以上見苦しくなりたくはない!一生苦しく生きるのなら、このまま死んじゃったほうがマシなの!」

「そう・・・」

「うッ、コホッ、ケホッ」



 ハアと息をつく。弱ったこの体には、いきなり声を出すのは酷だったみたいだ。


 それでも激情は次から次へと溢れてきて、何を言いたいのかもわからなくなってくる。



「どうせあなたには何もわかんないでしょ!?みんなそう!泥水の味も知らなさそうな顔で、大丈夫だよとか、今は辛いかもしれないけどとか!知った風に言わないでよ!」

「そうだね、知るわけない」

「えっ・・・」



 思わず呆けた顔になってしまい、さっきまでの勢いはどこに行ったのか、どっと疲れが襲ってきた。


「だって私はあなたじゃないもん、知るわけないよ」

「・・・はあ。ヒステリックに叫んでたこっちがバカみたい。そうよね、わかってもらうのって難しいんだね」

「まだ死にたい?」

「うん、死にたい」

「なんで?」

「もう何もないから」


 大事なものは失ってから気付くとはよく言ったものだ。それに気づいてしまった時、限りのない絶望に叩き落された。生きている意味なんて考えたことなかったけど、死ぬ意味だけは考えられた。死ねば親父たちに会えるかもしれない。死んだら姉さんや兄さんに撫でてもらえるかもしれない。


「じゃあなんで死ななかったの?」

「なんで・・・」

「餓死は苦しい死に方なんだよ。なんでそこまで死を願っているのに、一思いに首を搔き切らなかったの?」

「自死は不名誉な死に方だから・・・」

「餓死はもっと惨い死に方だと思うけど?」

「・・・」


 何も言えずにいると、その人ははあっとため息をついた。



「本当は怖いんじゃないの?死ぬのが」



 怖い。そうなのかもしれない。


 生きてさえいれば、もう一度あの温もりに出会えるかもしれない。どこかで奇跡が起きるかもしれない。その可能性にしがみついていたいがあまり諦められないのだ。



「そうなのかもしれない」

「じゃあ死ななかったらいい」

「でもここからどうしろと?」

「さあ、それは知らない」


 なんて無責任な。


「でも魔法を使えるっていうだけで、リーチはあると思うよ」

「魔法?私が?」

「うん、気づかなかったの?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ