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Ep.16ーリューー

お読みいただきありがとうございます。

 確かに複雑に絡まっているけど、二点さえ解けばあとは一つ一つ突破するだけだ。


「本当だ。よく気付いたね」


 隣で感心しているハクだが、本来はわからなくて当然なのだ。



「これは私が教えたものだもの」



 各年代、各地域、各体系の様々な技術を応用した非常に複雑な式によって組み上げられた、結界式の中では恐らく最高難度であろうものだ。途絶えた技術も織り込んであるから、型を覚えて構築はできても、理論を理解していなければできない「解式」は、私以外誰一人できない。


 はずだった。のだけど、ハクが現れたからこれで二人ね。


「一番堅いところは解いたから、あとは普通に破れるはずよ」

「わかった」


 返事が返ってくるやいなや、強い衝撃が結界を襲い、要部分がすでに解かれた結界は、いとも簡単に、パリンと割れた。


「俺は魔法の知識はさっぱりだが、おまえらがすごいことをしたってのはよくわかったぜ」

「でもこの結界が今割られたということは、この先に組織のリーダーがいる可能性は低いですね」


 結果が消えたのを見て、着いてきたもう一人、Aランクの探索者(シーカー)だという人がそう言う。


「そうだな。これをすり抜けていったとは考えにくい」

「そうね」


 むしろそんなやつなんかにすり抜けられたら困る。それだけの才能があるなら、人身売買なんかじゃなくて、王宮から金を稼ぐべきよ。


 でも、なぜこの結界がここにあるのかしら?


『先生!できました!見てください!』

『すごいわね!かなり難しい課題だったと思うけど・・・。シュカヤ解離式とライン理論の組み合わせ、上手にできてるわ』

『本当ですか?』

『ええ、合格よ』

『ありがとうございます!』

『じゃあ次はこれをさらに応用したものを教えるわね・・・━━』



 これはあの子にしか教えていないのに。



「奥の方に非常に広い空間があるので、探索する必要もあります」

「よし、じゃあ俺とこいつは引き続きリーダーを探す。お前ら二人はこの先の探索、でいいか? 」

「わかった。・・・リュー?」

「あ、なに?どうしたの?」

「二人でこの先の探索」

「わかったわ」

「じゃあ決まりだな!」

「では私たちは一旦引き返します。なにかあればすぐに連絡してください」

「ええ」



 二人がもと来た道へ消えていったあと、ハクが口を開く。



「で、この先がなにが知ってるの?」

「なんでそう思ったの?」

「あの結界」

「・・・・・・」


 私が黙ったままいると、ハクは続けて話し始めた。


「全部は解析できていないけど、少なくともシュカヤ解離式、ライン理論、空間曲解の法則、魔塔初期によく使われた重複術式、リューン革命期に一瞬だけ流行ったカイノーの魔導回路が使われてた。ライン理論はその複雑さ故にあとから出たイルガー論に取って代わられ、使われなくなったこの式の理論は未解決になった。ライン理論が出てからカイノー魔導回路が出るまで約三百年。この間をどう説明する?」



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