Ep.14ーリューー
お読みいただきありがとうございます。
「甘いわね」
とにかく剣を振って振って振る。ここが混戦と化すのにそれほど時間は掛からなかった。
「『氷結』」
「うわあ!」
ここの土は水分を多く含んでいるから、固めやすい。その人がこっちに向かって踏み込む瞬間に地面を「氷結」で固めたら、きれいにすってんころりんである。
「クソっ!挟め!」
「戦法としては悪くないけど、挟み撃ちは好きじゃないのよ」
一振りで前後二人を一気に捕らえる。ドゴッと鈍い音を立てて二人は壁に激突した。
「おい、あの嬢ちゃん想像の三倍強いぞ」
「危ねッ!俺ナンパしようとしてた」
「いい感じだ!走れるやつから奥に向かえ!」
それを聞いて、偵察職が何人か抜けて道の先へ向かう。
「行かせるか!」
走っていった人たちを狙って何個か剣が飛ばされるが、届く前に横からの剣で弾かれた。投げたのはハクだ。
しばらくして全員が片付き、私たちも奥へと向かう。
「そっちはどうだ?」
『子供を何人か見つけました。見張りは倒したので、来てください』
「わかった」
『それと、子どもたちが言うには他にも子供がいるそうです。それも違うところに』
「捜索させよう。だれか別行動・・・よし、お前ら四人は二ずつに分かれて他を探せ!」
私とハクともう一ペアが集団を離れた。
「私たちはこっちの道を行くので、反対をお願いします」
「わかったわ。なにかあったらすぐに救援信号を出してね」
「行こう」
少し探せば、子ども捕まっている部屋はすぐに見つかった。何人か見張りがいる。
「いける?」
「・・・」
催眠弾が男たちに直撃し、意識を失うように倒れ込んだ。
「これでいい?」
「さすがね」
そろっと物陰から顔を出せば、気配に敏感な子どもたちはすぐに気付く。
「・・・誰?」
「悪い人じゃないわ」
「お姉たんたい、わらいいとにゃない?」
「ええ」
「ほんろう?」
数人の十歳くらいの子とざっと二十人くらいの幼児。お世話係ね。
最初に話しかけてくれた子どもの後ろから、小さな赤ん坊を抱いた大きい子が出てきた。
「外に見張りがいたと思うけど」
「こあいいとー」
「倒したわ」
「本当に?お姉さんたち二人だけ?」
「他の人は違うところを探してるわ」
「ふーん。私たちを、助けてくれるの?」
そう聞くその子の声は震えていて、他の子も、大きい子は心配そうな、小さい子は興味津々な顔でこっちを見ている。
「そうだよ。助けに来た」
ここで初めてハクが口を開いた。
「本当?本当に本当?」
「本当」
聞き続ける少女に答えながら、ハクは鉄格子の前まで行って、ガチンッと短剣で鍵を壊した。
「ほら」
「あ、」
みんな信じられないという顔で見ている中で、ハクはキィと鉄格子を開けた。
「ほら、おいで。もう出てきてもいいのよ」
私がそう言ったとたん、ずっと話していたその子が走り出てきた。と思うと、急に膝をついて腕に抱いていたその赤ん坊を掲げた。
「お願いします!この子を助けてください!もうすぐ死にそうなの!お願い!助けてくれるんでしょ!?」
その赤ん坊は痩せ細り、今にも止まりそうな小さな呼吸を続けている。それを見て、迷いなく最高位の治癒魔法を発動させる。
「『奇跡の救い』。これで一旦は大丈夫よ」
「あ、ありがとうございます!」
それを見た他の子も次々と出てきて、自分の腕に抱えている赤ん坊たちを差し出してくる。
「この子も!助けてあげてください!」
「お願いします!」
「この子も!もう息がなくなりそうなんです!」
一通り全員治療していったが、治癒魔法をかけても、慢性的な栄養不足なため、早くなにか食べさせてあげないと、また危険になる。




