表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗黒中世騎士道  作者: 甲斐性なし
12/16

第11話

 陥落した城内に、惨憺たる光景が広がる。

 君主の間では、一方的な、戦後交渉が行われていた。


「所詮この世は糞溜まりです」

「…」


 俯いた老貴族に、言葉は続いた。


「全部たまたま、偶然です。この子も森に入ったら出会しただけ。運良く殺されなかったのは、私の容姿が優れていたから」

「ママ…」


 はいはい、ママですよ。投げやりな返事でも、大男は喜んだ。

 老貴族は俯いたまま、ひどく抑揚のない声を発した。


「気狂いめ、何が望みだ?」

「せっかちですね。折角ひとが、気持ち良く話してるのです。黙って聞いたらどうですか?」


 高い窓の下では、男たちが悲鳴をあげていた。

 最後まで抵抗を続けた兵士を晒し者にして、中庭では傭兵達の宴会が始まっていた。首に手斧を生やした兵士は、的当ての的として息絶えていた。

 

「ご覧なさい。本当なら私は、彼らに殺されていたのです。でも運が良かった、彼等を部下にする事ができた。

 この幸運が主のご意志でなければ、いったい私は何者だというのでしょうか?」


 見下ろす姿に気付いた傭兵は、ちぎれた兵士の腕を振って呼びかける。


「聖女様!こっちきて下さいよ!宴会がはじまってますぜ!」

「こいつらに殴り合いさせようぜ、生き残りは男娼にしてやる…」

「待てよ、普通じゃつまんねえ。仲間の手足でやらせよう」


 老貴族の震えた手に、そっと聖女は手を重ねた。息のかかる耳元で、何事かを小さく囁く。


 目を見開いた老貴族は、何度か口を閉口させていたが、次第に落ち着きを取り戻した。そして一度深く息を吸い込むと、本来あったであろう貴顕ある顔を、苦悶に歪めながらいった。


「……ここにいる大男を、正当な、儂の孫とする」

「はい、結構です」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ