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打たなきゃならないときがある。  作者: 浅野エミイ


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勝たなきゃならないときがある。

 今年も『キャッチコピー選手権』の時期が来た。ネットで『月刊アドバタイズ』を購入する。


 私、立石美鈴は、去年同じ部活の星川純に負けた。ううん、純に負けたっていうか、一次審査に通過できなかった。純は一次通過できたのに。しかもたった1本のコピーしか出さないで。私は100本書いた。それなのに。


 中学のハンドボール部では、私がエースで部長。純は球拾い。出した本数も、部活も、私のほうが上だった。それなのに。


 もちろん『キャッチコピー選手権』は相手との勝負じゃない。だけど、やっぱり『負ける』のは悔しかった。相手を見下していたっていう自分の浅ましい面を知って、嫌な思いをしたっていうのもあるけども。


 高校1年になった私は、純とは別の高校へ進学。なかなか会うことはなくなったけど、あの屈辱は忘れない。


『月刊アドバタイズ』が届いた夜、久々に順にLINEしてみた。


『純、またキャッチコピー選手権、出す?』

『うん、面白かったからね。出してみようかなって思ってるよ』


 ……やっぱり出すんだ。これは負けちゃいられない。でも、本当はわかってる。相手は純だけじゃない。全国の中高生だってこと。それに、自分との戦いだってこと。


 私はハンドボールを続けている。今年は部活の合間を縫っての参加だ。


 純はたった1本で、一次を通過した。私は――今回のキャッチコピー選手権、一次通過を複数本する。そして、二次審査、三次審査を経て、グランプリを獲ってやる。


 これはもう、意地だ。ライバルもいるけど、まずは何本いいものが書けるか、自分との戦いだ。


 私はスマホで企業情報を見ながら、課題に取り組む。


 今年は――絶対に負けない。ライバルにも、貪欲に『勝ち』を望む浅ましい自分にも。


勝ってやる。コトバの頂点に立つのは、私だ。

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