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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑦ ~過去《きおく》の悪夢《おり》に執念《いのり》の意地《ひかり》を~  作者: norito&mikoto
第2章 混沌に沈む絶望の

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第2話・悪夢の海の囚われて ~闇を払うは強引な~

【注意喚起:残酷・流血描写】


本話には、悪夢の中の幻影ではありますが、キャラクターが刃物で刺し貫かれるといった残酷な流血・死の描写が含まれます。

刺激の強い描写が苦手な方はご注意ください。




第2章 混沌に沈む絶望の



      第2話・悪夢の海の囚われて ~闇を払うは強引な~



 闇の中を駆けるインスは、既に三度、アインの姿を見失っていた。



 最初の一回目はまず何が起きているのか分からなくて。


 けれどもその後、広げた魔力が掴んだアインの気配を辿って向かった先に……



 更なる地獄(あくむ)が待ち構えていた。



 流石に、それが視界に入った瞬間、インスも込み上がる吐き気を感じて青ざめる。



 それは以前、水の聖霊に無理やり見せられた……アインが見ている()()の光景。


 現実では起こらなかった、あったかもしれないもう一つの未来の姿。



 それを認識した瞬間、意識が融合し、()()()の完全再現が引き起こされた。



「……っ……!?」



 一瞬で視界が切り替わって、目の前には抱き着いているアインの姿。



「……アイン、君……?」



 触れる気配がちゃんと本物で、何が何だか分からなくなる。



 その小さな体が、必死に治そうとする回復魔法の魔力と、抱き着く熱と、苦痛まですべて……すべて本物。



「………っ………!!」



 本物だと悟った瞬間、激痛に襲われた。



「っ。……インスさまっ!!」



 唇から悲鳴が迸り、それにアインも悲鳴を上げる。



 噴き出した血が、床を赤く染めていく。



「……あ、いん……く……っ!?」



 必死に声を絞り出すが、直後に背中側から来た衝撃にビクンっ。と体が震え、のけぞる。



「……ぇ……」



 何が起きたかわからないと言いたげに呆けた息を漏らしたアインに、声をかけたいのに、口から出るのは熱の塊だけ。



 この後どうなるのかを、インスは知っている。



 見せられた悪夢(ゆめ)の記憶そのままに、刺し貫いたナイフが抜かれ、崩れ落ちたインスの身体を支え切れずに、アインもその場に座り込む。



「……アイン君……っ!」



 直後に意識が引きはがされて、インスはアインの()()に立っていた。



「……いんす、さま……?」


「っ。アイン君! 気づいて下さい……私はちゃんと、ここに居ます。それはただの夢で、現実ではありません……!」



 その腕に抱くインスに向かって、呆然と呟くアインを後ろから抱きしめる。


 必死に呼びかけ、訴えかけるが……やはりアインの身体をインスの手はすり抜けてしまい、触れることはできない。



 歩み寄ってきた魔族がアインの胸に剣を突き立て、その身体から心の結晶である宝石を奪い取るのを、阻止することも……



「渡しませんよ。この子の心も、身体も……すべて、私のものです……」



 髪の一筋、爪のひとかけ、血の一滴に至るまで……何一つ。



「この子が自分で選んで、自分で望んでそうするのなら許しましょう……けれど、強引に奪い取ることも、無理やり触れることも……絶対に、許しません!!」



 二度目の激昂。二度目の氾濫。二度目の消失。



 それでも……



「……私のすべても、アイン君のものですよ……」



 優しい囁きと共に、再び広げた魔力の先に、ちゃんとアインを見つけ出す。



 そうして、三度目はアインが見ているもう一つの悪夢で……



 ここまでくれば理解する。できた。



 この闇の中で、アインが悪夢に囚われているのだと、



 誰かに無理やり閉じ込められているのか。


 それともアイン自身が、闇の中の悪夢に閉じ籠ってしまったのかまでは分からないけれど。



(……どちらであっても関係ありませんね……)



 再び消えてしまったアインの行方を捜す。



 何度でも、その悪夢を薙ぎ払い、あの子の、健やかな心を取り戻す。



(……それだけです……)

 


 何度目かに見えてきたのはどこかの室内と、アインを押さえ込む神官呪師の白いローブに呪師学校の校長を示す白いケープを着た男。



「……ヴィロバ=エルマーニ神官呪師学校校長……?」



 白いものが混じり始めた黄褐色の髪と片眼鏡をかけた淡緑色の目の壮年の男が……



「……何をしているのですか……?」



 冷ややかな声がインスの唇から零れ落ちる。



 ほんの五歳ほどの……いや。おそらく、本当はまだ、三歳か、せいぜい四歳になっているかどうかという……幼い少年をソファに押さえつけ、何かを囁きかけていた。


第2章第2話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、アインを囚える「悪夢」の正体にインスが迫っていくお話です。


闇の世界で繰り返される凄惨な光景。


それは、現実には起こらなかったはずの幻影や、決して見過ごすことのできない過去の欠片。


大切な存在を強引に奪い、傷つけようとするすべてのものに対し、普段の微笑みからは想像もつかないほどの冷徹な怒りを爆発させるインス。


彼の「絶対に許さない」という静かなる激昂が、この闇をどう切り裂いていくのか?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第7弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


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