第1話・誓いは照らす約束の星 ~何度だって繰り返す~
【注意喚起:悪夢・暴力描写】
本話には、精神世界(悪夢)の中において、キャラクターが暴力を受ける幻影の描写が含まれます。
辛い展開となりますが、ここから反撃(救済)が始まりますので、苦手な方はご注意の上お進みください。
第2章 混沌に沈む絶望の
第1話・誓いは照らす約束の星 ~何度だって繰り返す~
思考が止まったのは僅かの間。
目の前では、拘束する鎖を引かれ、引き倒されるアインの姿。
ふざけないで欲しい。
こんなことを……!
「……誰が許したと……?」
冷ややかな声が、インスの唇から零れ落ちた。
怒りが過ぎると逆に冷静になるのだな、とどこか冷めた気持ちで思考しながら、普段は極力抑え込んでいる感情のままに魔力を解放する。
すさまじいまでの圧力が闇の中に吹き荒れ、インスの全身を包み込む。
「……アイン君……」
触れることもできない、気づいてももらえないアインに、呼びかける。
その声音は、先ほど零れ落ちた時の冷たさは欠片もない、あたたかでやわらかな……いつも通りの声。
表情も慈愛に満ちて……
嵐のごとき魔力の氾濫と正反対の穏やかさ。
「……アイン君……言ったでしょう?」
私のすべてで君を護りましょう。
君の幸福を何よりも切望います。
私のすべてと引き換えて。
それで願いが叶うなら、この存在のすべてを賭けよう。
誰にも、何にも、邪魔などさせない……
たとえこの身が滅んでも。
何を敵に回しても。
恐れるものなど、何もない……
「……君のすべては、私のものです……」
引き倒されても、抵抗できないアインに手を伸ばす。
触れることはできないけれど、それでも触れているかのようにその全身を包み込む。
「……そして、私のすべては、君のものです……」
誰にも……
「……穢させたりなど……するものですか……!」
声と同時に、爆発するような魔力がすべてを薙ぎ払った。
(……ぜんぶ……ゆめ……だった……?)
微かな囁きを残して、アインの姿が解けるようにして消える。
「……いいえ。全部、ちゃんと、現実です……」
その囁く声に答えて、インスは闇の中に魔力を広げた。
消えてしまったアインを探す。
「……言ったでしょう? アイン君……私はもう、君を逃がしては上げられない。と……」
うっすらと浮かべた微笑はぞっとするほどやさしくて。
狂気に染まったかのような怜悧な眼差しが、広げた魔力に触れる、アインの気配を見つけ出す。
(ここがどこで、何が起きているかは関係ありません……)
必ず、アインを助け出す。守り抜いて見せる。
「……それだけ、です……」
見つけた気配に向かって、インスは再び走り出した。
第2章第1話をお読みいただきありがとうございます。
闇の世界を駆けるインスが見つけたのは、決して見過ごすことのできない残酷な光景でした。
目の前で苦しむ姿を見せられながら、触れることすら許されないもどかしさ。
それでも絶対に護り抜くという、彼の静かで、けれど狂気すら孕んだ強すぎる想い。
物理的に触れられない幻影の壁を前に、普段は冷静なインスが感情のままに魔力を解放する姿は、彼にとってアインがどれほど唯一無二の存在であるかを物語っています。
「ぜんぶゆめだった?」という問いかけに対する、インスの答えの意味とは。
重すぎる誓いを胸に、闇を薙ぎ払ったインスは果たしてアインを見つけ出せるのか!?
次回もお楽しみに!
【今後の連載スケジュールについて】
続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!
【ミニコラム掲載中!】
活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!
【読者の皆様へのお願い】
「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします!
【第7弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】
【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】
――――――
ノリト&ミコト
※シリーズはこちら!
https://ncode.syosetu.com/s8365j/




