表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑦ ~過去《きおく》の悪夢《おり》に執念《いのり》の意地《ひかり》を~  作者: norito&mikoto
第1章 残光薄れて始まるは

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/22

第3話・すべてが脆く、崩れ去る ~呑み込む魔力《やみ》の重さより~

【閲覧注意:トラウマのフラッシュバック描写】


本話には、キャラクターが過去に受けた凄惨な暴力(拘束などの虐待)の記憶がフラッシュバックする描写が含まれます。

重く苦しいトラウマ刺激の要素が含まれますので、苦手な方はご注意ください。



第1章 残光薄れて始まるは



    第3話・すべてが脆く、崩れ去る ~呑み込む魔力やみの重さより~



 ふっと、アインが目を覚ますと、知らない場所にいた。



「…………っ!?」



 びくりと体が震えたのは、どういう訳か何かで拘束され、目隠しと、口にも布を嚙まされて声も出せないようにされていたから。



 一体、何が起きているのか分からなくて、混乱する頭で必死に考える。



 反射的に動かした手足がカシャリと小さな音を立てて……



「~~~~~っ!!!!???」



 記憶が、溢れた。



 鎖に繋がれ、氾濫する視界の中で、頭痛と吐き気に襲われて……



 体調の悪さで動けなくなるたびに、殴られたり、蹴られたり……時には()()を使って乱暴されて……痛くて、怖くて……暴走した魔力が鎖を破壊して逃げ出せるまで、()()されていた、()()()記憶。



「ぅ~~~っ!!!!??」



 必死に、叫ぶけれど、くぐもった音ともいえない息が漏れるだけ。



 手足を動かして、暴れても、微かに触れ合う音がするだけで外れてはくれなくて。



 涙が浮かんで、眦を滑り落ちていくけれど、それで目隠しされた視界が見えるようになるわけでもない。



 何がどうして、どうなった。なんて考える余裕などなく。



 ただひたすら、襲い掛かる恐怖から逃れようと暴れるだけ。



(どうして!? どうして!? どうして!!??)



 逃れられたと思っていたのは、夢だった?



 自分は今も、あの、ただただ怖い人たちのところに居る?



 クロードが保護してくれたことも。


 神殿や皇宮で色々と勉強させてもらえたことも。


 たくさんの人と知り合って、良くして貰ったことも。


 なぜか厳しく扱われたことも。



(……いんす、さま……?)



 あのヒトに、あえた……ことも?



 ふわりと微笑んで、自分を撫でてくれる、やさしいヒト。


 その、全部が、ゆめ……だった……?



 ぎしりと、胸の奥で何かが軋む。



 暴れ疲れて、ぐったりと動きを止めたアインの目から、止めどなく溢れる涙が……目隠ししている何かを濡らす。



(……ぼ……く……は……)



 パキリと。何かが砕けた錯覚。



 ゆっくりと、意識が闇の底へと引き摺られて行く。



「……っ!? アインっ!!」



 途切れる直前。誰かに何かを、言われた気がした。


――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 一体全体、何がどうなってるんだよ!!



 授業が終わり、寮の部屋に戻ったペルフィーは、とっくに帰ってきている筈の同室の弟弟子であるアインの姿が見えなくて困惑した。


 代わりに待ち受けていたのはクロードで、なぜか一緒に校長室を訪れている。



 部屋の主であるヴィロバは不在。


 何も説明されずに連れてこられたペルフィーは、クロードが無言で()()()()()()()()隣接する仮眠室のベッドに寝かされていたアインを見つけて驚く。



 ヴィロバが不在の校長室に、どうしてアインが寝かされているのか。



 寝ているというよりは気絶しているといった様子で、ひきつけを起こして唸っているアインに驚く。



「っ!? アイン!?」



 呼び掛けて、駆け寄ったペルフィーは素早く様子を確認し、アインの()()()()()()()の気配に戦慄した。



(っ!? なん……だよ!! この重量(おもさ)は!!)



 心の中で絶叫し、恐る恐る手を伸ばす。



「……っ……」



 弾かれるか、呑まれるかとも思ったが、何の問題もなくアインに触れることはできた。



 けれど異常なほどの冷たさと質量を感じる。



「……ペルフィー。アインは……?」


「……気を失ってる……特に目立った外傷は()()()いないが……」



 クロードの問いかけに答えながらも、アインの身体のあちこちを確認したペルフィーはじろりとクロードを睨んだ。



「で? 何が起きてる?」


「……指示。……校長は、教育のつもり……」


「はぁっ?」



 校長が教育って、当たり前じゃないか。と思ったペルフィーだったが、すぐに違和感に気づく。



(いや。つもり……ってことは、実態は違った? それに指示って、誰から、何の?)



 内心で厄介なことに巻き込まれている気配を感じながら、そうっとアインを抱き起こす。



 起こそうとして、何かに引っ張られて動かせなかった。



「……っ……!?」


「……ペルフィー……?」



 ギョッとしたペルフィーは改めて周囲の魔力まで慎重に探る。


 呼び掛けたクロードは片手で制し、その合図で何をしているのかを察したクロードも黙って様子を見守った。



「……っ!? アイン!!」



 しばらくそうやって魔力を探っていたペルフィーが、焦ったようにアインを呼ぶ。



 アインの全身を覆う魔力が、この場に縫い留める鎖となってアインを拘束していた。


第1章第3話をお読みいただきありがとうございます。


意識を失っていたアインが目を覚ました直後の、あまりにも残酷で絶望的な状況。


せっかく見つけた温かな居場所から一転、視界も声も、そして身体の自由さえも奪われた状態での目覚め。


さらにその拘束が引き金となり、クロードに保護される前の凄惨な「最初の記憶」がフラッシュバックします。


圧倒的な恐怖とトラウマの底に突き落とされてしまったアイン。


声すら出せないこの暗闇の中から、彼を救い出す希望の光は差し込むのか?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第7弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


※シリーズはこちら!

https://ncode.syosetu.com/s8365j/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ