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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑦ ~過去《きおく》の悪夢《おり》に執念《いのり》の意地《ひかり》を~  作者: norito&mikoto
第1章 残光薄れて始まるは

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第2話・光輝《ひかり》の下《みち》を歩む自分《もの》~神が与えたもうた奇跡の~

【閲覧注意:暴力・虐待を思わせる描写】


本話には、密室において大人が抵抗できない子供の身体を傷つけるといった、生々しい暴力・児童虐待の描写が含まれます。

非常に気分の悪いシーンとなりますので、苦手な方は読み飛ばすなどのご自衛をお願いいたします。



第1章 残光薄れて始まるは



      第2話・光輝ひかりみちを歩む自分もの~神が与えたもうた奇跡の~




「……っ!?」



 一瞬の、魔力が暴発する気配に、ヴィロバは素早くアインをソファに押し付ける。



 顎を掴んでいた手がそのまま首元を押さえ、アインの身体が抵抗を示して暴れた。



「……アイン。道を踏み外す行いは、許されませんよ?」



 冷ややかな声が、耳元に寄せられた唇から、全身を、否、魂までもを拘束するように流し込まれて、アインはますます抵抗を強くする。



 けれど幼子の力で壮年の姿を保った男性の力にかなうはずもなく、程なくぐったりとして意識を失ってしまった。



「……やはり、私が常に()()()あげなければいけませんね……一体()()()愚かな考えに触れてしまうのか……皇宮に行かせていた時期に、穢れに触れてしまった影響でしょうか……?」



 一旦ソファに寝かせたアインに、回復魔法をかけて(ゆび)(あと)を癒して……痕跡を消し(許しを与え)てから抱き上げる。



 そのまま、校長室に併設された仮眠室へと運び込むと、ベッドに寝かせてサラリと髪を漉いた。



「……ああ。神よ……。この、()()()()()()をお与えくださり、感謝いたします……」



 床に跪き、恍惚とした表情で十字を切って祈りの文言を囁く。



「どうか、私の()()()()()をこのまま御見守りください……私が必ずや、この子どもを()()()にふさわしい(しもべ)に育て上げて見せます……」



 清廉にして、高潔なる我が志に祝福あれ……



 最後は心の中で誓いを込めて。



 薄く、口元に浮かぶ笑みが、満足そうに弧を描いた。




 仮眠室にアインを寝かせて校長室に戻ったヴィロバは、すぐに訪問者を迎えることになった。



「エルマーニ校長。教皇猊下がお召しです」


「なんと! 教皇猊下が!!」



 訪れた判別の神官長である女性から告げられた言葉に、ヴィロバは目を見開いて歓喜に震える。



「……すぐに、との思し召しですが、何か問題はありますか?」


「まさか! 神の信徒として、今すぐお伺いいたしましょう」



 教皇とは、いわば神の代理人である。


 その教皇からの召喚とあらば何をおいてもはせ参じて当然。



 いそいそと立ち上がったヴィロバに頷いて、神官長は「ご案内いたします。」と先に立って歩きだした。



 その後に続いて歩くヴィロバは気持ちが高揚するのを押さえられない。



 ああ! とうとう猊下の御目に止めて頂くことまでできましたか!


 私の働きを正しくご覧いただけていたということですね……



「……時に、猊下はなぜ、私を……?」



 湧きあがる歓びのままに声をかけるヴィロバに、先に立って歩く神官長は一瞬、振り向く。



 目だけで謝意を示し、すぐに前を向いた。



「申し訳ありません。急ぎますので、このままで……猊下からは、確認したいことがある。と伺っております」


「なるほど。なるほど」



 無作法を詫びてから質問に答えた神官長の返答に、うんうんと頷くヴィロバの頭の中では、それはそれは()()()()()()()()思考が凄まじい速度で飛び交う。



 その様子を気配だけで察して、神官長は無駄口をたたくことなく先を行く。



 やがて、最上位の上層部が会議を行う特別室にたどり着いた。



「……ここは……」



 流石に想定外の……けれども当然とも感じている……特別な場所に足を踏み入れることを許されたと知って、息を飲むヴィロバに対し。



「……この先に進まれますと、後には引けなくなりますが……よろしいですか……?」



 扉の前で立ち止まり、向き直った判別神官長・ラティス=ペタリソスは()()()()を口にした。



 ごくりと、一度ヴィロバは唾を飲み込む。



 そして……



「……もちろんです……」



 緊張を滲ませて、けれどもはっきりと頷く。



「……では、どうぞお入り下さい……」



 それを確かめて、ラティスはゆっくりと扉を開いた。



 ヴィロバもゆっくりと歩を進め、どこか緊張感の漂う静かな室内に続く扉を潜る。



 後に続いて部屋に入ったラティスが扉を閉めるのと同時に……



 ―――――キン。



 室内に強固な結界が張り巡らされた。


第1章第2話をお読みいただきありがとうございます。


ヴィロバの「正しき指導」という名の一方的な支配が、さらに狂気を帯びていく恐ろしい瞬間。


逃げ場のない空間で恐怖と絶望に震えるアインと、己の行いを「神に祝福された崇高な使命」だと信じて疑わないヴィロバ。


決して交わることのない二人の認識のズレ。


限界まで追い詰められたアインの心からのSOSが、一瞬の魔力の揺らぎとなって表れます。


狂信的な思い込みによって完全に閉じられてしまったこの悪夢の中から、果たしてアインを救い出す手立てはあるのか?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第7弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


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