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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑦ ~過去《きおく》の悪夢《おり》に執念《いのり》の意地《ひかり》を~  作者: norito&mikoto
第1章 残光薄れて始まるは

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第1話・与える者の正しさと ~受け取る者の現実と~

【閲覧注意:暴力・虐待を思わせる描写】


本話には、密室において大人が抵抗できない子供の身体を傷つけるといった、生々しい暴力・児童虐待の描写が含まれます。

非常に気分の悪いシーンとなりますので、苦手な方は読み飛ばすなどのご自衛をお願いいたします。



第1章 残光薄れて始まるは



      第1話・与える者の正しさと ~受け取る者の現実と~



 今後の活動に関してを告げたヴィロバは……



(……遅いですね……)



 目を見開いてじっと自身を見つめるアインから反応が返ってこないことに眉を顰めた。



「アイン」


「……………」



 呼び掛けるが、やはり返事がない。



 話を聞いていないことが分かって、これはいけないと内心嘆いた。



「アイン。返事をしなさい」


「……っ!?」



 顎を掴む手に()()()()力を入れて、グッと上げさせると、微かに表情が動く。



「聞いていないようですので、もう一度言いましょう。今後は神殿の敷地内でのみの活動となります。分かりましたね?」


「……ぁ……」



 繰り返すと、今度こそきちんと話を聞いていたようで、微かな吐息と共にアインの身体が()()()震える。


 それはそうだろう。光に満ちた()()()()()に居られる許可を()()()()()のだ、喜ばないはずがない。



(私も、見習いの身でしかない時期に、そのような許可を高位の神官様に()()()お伝え頂けたのだとしたら、歓喜のあまり気を失ってしまうかもしれません……)



 しかし、()()()()()()いるのか、なかなか返事が返ってこないのが気になる。



「アイン? 返事はどうしましたか?」


「…………っ」



 ひくりと、息を飲んだアインの瞳が潤み、微かに首が()に動こうとするのが分かった。



 瞬間。ヴィロバの眼差しが険しくなり、スッと細められた冷ややかな淡い緑がアインを射抜く。



 感激し過ぎて、歓喜に震えている者が、首を横に振ることなどない。



 なのに、なぜかアインの首は横に動こうとした。



 もちろん、そんな()()()()動きなどさせるわけにはいかないので、掴む手に更に()()()()()力を加えてやめさせたが……



(……ああ。この子はやはり、黒魔法の闇に穢されてしまっている部分があるようですね……嘆かわしい……)



 正しく、導いてあげなければ……



「アイン? 返事は『はい』か『分かりました』ですよ?」


「…………っ!!」



 返事を迫るヴィロバに、アインは息を飲んで、ギュッと目を閉じた。


――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 何を、言われたのか分からない。



 ヴィロバに今後の活動に関して告げられた瞬間、言われた言葉を理解するのを頭が、心が拒む。



 思考が止まり、何も考えられなくなったアインの反応の遅れに、ヴィロバは眉を顰めると、既に()()()()()()で掴んでいる手にさらに力を加え、アインの顎を強引に上向かせる。



「アイン。返事をしなさい」


「……っ!?」



 痛みと、上向かされた結果息が苦しくなって、微かに顔を顰める。


 ソファに押し付けられた背も反り返り、けれど右腕も掴んで押さえられているので、変に引っ張られて痛む。



「聞いていないようですので、もう一度言いましょう。今後は神殿の敷地内でのみの活動となります。分かりましたね?」


「……ぁ……」



 拒むことは許されないとばかりに繰り返され、嫌でも理解させられて……


 恐怖と絶望に体が震え、微かに吐息だけが零れた。



 目の前が薄く、闇に閉ざされて行く錯覚。


 すうっと、頭から血の気が下がっていくのを感じた。



 ぎしりと心臓が嫌な音を立てて、どくどくと早鐘を打つ。



 喘ぐように唇を開くが、細い空気が肺を満たしてくれなくて……



(……い、や……)



 そんな中で、嫌だ。という思いだけが溢れかえり、思考がその言葉で埋め尽くされる。



「アイン? 返事はどうしましたか?」



 けれど、返事を催促されて、ひくりと息を飲んだアインは瞳を潤ませて、反射的に首を横に振ろうとした。



「…………っ」



 拒絶を示そうとした動きを、さらに強くなった手が強引に阻止し、スッと細められた冷ややかな淡い緑が険しさを宿してアインを射抜く。

 


「アイン? 返事は『はい』か『分かりました』ですよ?」


「…………っ!!」



 再び返事を迫るヴィロバに、アインは息を飲んで、ギュッと目を閉じた。



(……嫌だ……っ! いや……!! だれか……っ!!)



 助けて……



(……インス、さま……)



 ザラリとした嫌な鼓動が激しさを増す。



「アイン。返事をしなさい。……堕落する気ですか?」



 声もなく助けを求めるアインの思いなど、何も関係ないとばかりに、ヴィロバは再び繰り返す。



 さらに力を強めたヴィロバの爪がアインの柔らかな皮膚をひっかく。


 ピリッと、鋭い痛みが走り、微かに朱が滲んだ。



(……インスさま……っ!!)



 その悲鳴(さけび)にパチリと――一瞬、魔力が跳ねた。


第1章第1話をお読みいただきありがとうございます。


ヴィロバから下された「神殿の敷地内でのみの活動」という突然の宣告に対し、アインが直面する恐怖と絶望の瞬間。


アインに「光に満ちた正しい世界」を与えていると信じて疑わず、アインが歓喜に震えているのだと完全に勘違いしているヴィロバ。


その圧倒的な善意と強圧的な態度の前に、逃げ場を失い追い詰められていくアイン。


一切の拒絶を許さないヴィロバの問いかけに対し、絶望の淵に立たされたアインはどうなるのか!?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第7弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


※シリーズはこちら!

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