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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑦ ~過去《きおく》の悪夢《おり》に執念《いのり》の意地《ひかり》を~  作者: norito&mikoto
第3章 闇に差し込む光のごとく

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第4話・それは神が与えたもうた ~水の神剣に宿る意思~

第3章 闇に差し込む光のごとく



      第4話・それは神が与えたもうた ~水の神剣に宿る意思~



 水の龍と氷の狼。


 インスに水の神剣に宿る意思と言われたそれは、光を纏って大きさを変える。



 見上げるほどの巨大さを持つ水の龍と、大人を載せることも可能そうな大きさを持つ羽の生えた狼。



 感じ取れる魔力の大きさに見合う、荘厳で、威圧的ですらある威容に、アインはますます怯えてインスにしがみついた。



「………………」



 そんなアインを撫でて落ち着かせながら、無言で見据えるインスの目からは冷ややかさが消えることはなく、本来の大きさ……なのだろうサイズになった彼らに対して、怯えることも怯むこともない。



 しばし、にらみ合うような沈黙が続き、ややあってまず、水でできた龍が口を開く。



『……そなたの言う通り、我らは水の神剣に宿る意思……』



 その声は響くような深みを持って、涼やかな落ち着きを感じさせるもの。



『我はオーバー。水を表し、司るもの。やさしさの象徴』



 先に名乗りを上げたのは龍の方。



『我はネオ。氷を表し、司るもの。厳しさの象徴』



 続いて、氷でできた、羽の生えた狼も名乗りを上げる。



 (ネオ)の方が少し冷たい印象の声をしていて、それだけですくみ上るような怖さを感じた。



()()()よ。汝は我らの力が及ぶ範囲において、唯一『誓約者』足りえる存在だった』



 続けて言ったのはネオの方。



 アイスブルーの瞳に射抜かれたアインが、震え上がって硬直する。



『……だが、我らは()()()()()()()()()()()()……ゆえに、汝は我らを畏れ、拒絶し続けている……今もなお……』


「……っ!!」



 後を続けたオーバーの言葉に、ひくりと息を飲んだアインが呼吸を詰まらせたのを感じて、インスはそっと、その背を撫でて、ちゃんと息をするようにと無言で促す。



 インスの手のぬくもりに、少しだけ落ち着いたアインも、素直に呼吸を再開させて、怯えたままで二つの、神剣の意思を見た。



「……っ……」



 その、恐ろしいほどに巨大な力が()()()しまって、震えるアインはまともに話ができる状態ではない。



 水龍(オーバー)氷狼(ネオ)はまた少し困ったように顔を見合わせた。



「……このままでは、話が進みそうにありませんね……」



 様子に、そっと溜め息を吐いたインスが口を挟む。



「……なぜ、アイン君なのですか? 神剣の封印が解かれたからと言って、あなたたちの力が及ぶ範囲に、他に『誓約者』になりえるだけの存在がいなかったからと言って……こんなに幼い、守られるべき小さな子供に、なぜ、使い手になることを強要するのですか?」



 叩きつけるような鋭さで問うインスの目にはただひたすらに冷たい憤り。



 大人に保護され、守られて育つべき幼い子供に、その巨大な力の使い手になれと強いる理由を問い詰める。



『かの地の封じを守るため』


『我らの力を暴走させぬため』


「「……っ……!?」」



 オーバーが、ネオが、告げた答えに息を飲む。



「……それ、……って……?」



 目を丸くしたアインが、初めて意思に声をかけた。



『かの地には、解いてはならない封じがある』


『我らは歯止めの失われた巨大な力……使い手となる者がいなければ、ただ暴走し、大陸を、この世界を混乱に沈める』


「……そ、……んな……」



 説明に、顔を青ざめさせたアインが、キュッとインスの服を掴んで吐息を零した。



 けれど……



「だから?」



 冷ややかに切って捨てたのはインスの方。


 驚いてアインはその顔を見上げるけれど、インスは二つの意思を見据えたまま、ただ冷ややかに言ってのける。



「そのことと、アイン君の中に居座って、この子を苦しめ続けることに、何の関係が?」



 そう、インスが許せないのはその点。



 使い手に足る者が他には居ない?


 だから?

 


 他に居ないから、身体の中に入り込んで、その()()()()()()()()()()()()とやらを、体内でなら暴れさせて良いとでも?


 使い手となることを望むから、その器として、どう扱っても良いとでも?



 ありえない。



「……そもそも、前提がおかしいでしょう? この子にどうしても、使い手になってもらう必要があるというのなら、伏して乞い、まずは何者にも害されぬように守るべきでした」



 嫣然と微笑むインスの、その凄みのある表情に、二つの意思は口を噤んで沈黙した。



 そう、他に居ないから、アインにどうしても使い手として契約を……さらには誓約をと望むのであれば、彼らは無理に体内に入り込み、なおかつ好き勝手に力を暴れさせるべきではなかった。



 それでなくても、見者けんじゃであるアインには、隠していたって、その()()()()は視えてしまうのだから。



『……そなたの言う通りだ……』



 溜め息のように深く息を吐いてオーバーが認め、無言でネオも頭を垂れる。



「……イ……インス、さま……っ」



 青くなって袖を引くアインを撫でながら、インスはますます笑みを深めた。


第3章第4話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、ついに姿を現した「人智を超えた強大な存在」との対峙のお話です。


巨大な力と威圧感に怯えるアインですが、インスにとって、相手がどれほど高位の存在であろうと知ったことではないようです(笑)。


アインを脅かす存在に対して、一切の妥協も容赦もなく、冷徹な正論で相手を追い詰めていくインス。


相手を完全に沈黙させるインスの圧倒的な強者感と論破のターンをぜひお楽しみください。


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第7弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


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