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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑦ ~過去《きおく》の悪夢《おり》に執念《いのり》の意地《ひかり》を~  作者: norito&mikoto
第3章 闇に差し込む光のごとく

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第1話・信誓《ちかい》は永劫《とわ》の ~解放するのは~

第3章 闇に差し込む光のごとく



        第1話・信誓ちかい永劫とわの ~解放するのは~



 全身を己の魔力で包んで、アインを縛る魔力の鎖に手を伸ばす。



「……っ!」



 反発する魔力が火花を散らし、跳ねた力に焼かれ、斬られても、少しずつ、けれど確実に近づいていく。



 厚い抵抗の壁を、無理やり押しやり、時々押し戻されながらも、それでも一歩も引かない。



「……アイン……君……っ!」



 ギリギリと、アイン自身を縛り、締め上げる魔力の鎖は、アインのものではあったけれども別の何かに歪められ、変質していた。



 吹き込まれた言葉(どく)に侵されたのか……あるいは、直接的に洗脳(のろい)をかけたのか……どちらにしろ、自分で自分を殺そうとさせているなんて!



(……許せるはずがない……!)



 ギっと、噛みしめた唇が切れて、鉄臭い苦みが広がる。



 精神体でしかないはずの……物質の器ではない今の姿で、そんな味覚が働くなんてと、どうでもよいことに思考が逸れかけた。



 更に一歩、踏み込んで、伸ばした指先が鎖に触れる。



「……っ……!!」



 バチっと、大きく衝撃が来たけれど、予想していたので今度は弾き飛ばされることなく踏み止まった。



 指先が魔力に焼かれる。


 痛いとも熱いとも感じたが、どうでもよい。



 グッと、手を伸ばし、身を寄せて、指先だけではなく、掌全体で鎖を掴む。



「……っぁ……っ!!!!」



 掴んだ手から、腕を伝って全身に衝撃が走った。



 思わず悲鳴が零れるが、手は離さない。反対の手も伸ばして、両手で掴みかかる。



「――――っ!!」



 先ほどの比ではない衝撃に、悲鳴を上げる事すらできず、仰け反って……がくりとアインが寝かされたベッド脇に座り込んでしまった。



 それでも、手は離さない。確実にアインに近づいて、その顔を覗き込む。



「……ァ……イン……く……っ」



 掠れた声が呼び掛けるけれど、ぐったりとして苦し気なアインが気付く様子はない。



 絶え間なく襲い掛かる衝撃に、痙攣を起こす体を無理やり押さえ込んで、片方の手だけ鎖から放して、そっと、アインの頬に触れた。



「……っ!?」



 その頬がゾッとするほど冷たくて、一気に背筋が冷える。



「……あいんくん……?」



 愕然として、零れ落ちた自分の声があまりにも弱々しくて、感情に引きずられた魔力も弱まってしまう。



 抵抗に耐えられなくなって、跳ね飛ばされそうになる体を、必死でその場に縫い留める。



「アイン君! アイン君、気づいて下さい!!」



 アインの頬に触れた手から、自身の魔力を流し込む。


 無理やりにでも、気づかせるために。



「っ。アイン君!!」



 呼び掛けて、冷え切ったその頬に、その体に、自分の魔力(ねつ)を伝え続ける。



 どうか。どうか、気づいて!!



「………………………」



 苦痛に歪むアインの表情が、一瞬、酷く頼りなげなものに変わって、呻く吐息の代わりに囁くような嘆きが零れる。



「っ!?」



 様子に気づいて、インスはさらに、魔力を送りながら、耳を澄ませて、口元に注視する。



(……ぜんぶ……ゆめ……だった……?)



 あのヒトに、あえたことも……?



「っ。いいえ……」



 その囁きに、インスはきっぱりと返す。



「……私と、アイン君が遇えたことも……アイン君が、他にもたくさんの方と知り合えたことも……全部、現実(ほんとう)ですよ……」



 だから、どうか、忘れないで……なかったことにしないで……



「……私を……独りに、しないで下さい……」



 込み上がる熱を必死に堪えて、アインの頭の後ろに手を回し、弾き飛ばそうとする魔力に逆らって、アインを縛る魔力の鎖ごと抱きしめる。



「……っ!!」



 接触面が多くなった分、焼けただれるほどの痛みと熱も増えたけれど、苦痛を堪えて強く抱く。



「……思い出して……アイン君……何があろうとも、私は君を、独りにはしません……」



 そう、約束したでしょう?



「たとえ、一時的には、物理的な距離ができてしまったとしても、ずっと、君を想っています……そして……かならず、また、君の元に戻りましょう……」



 絶対に。



「どんな手を、使ってでも……」



 この言葉を伝えた時には口には出さなかった最後の一言までもを、誓いのように刻む。



 内に秘めた……本来の力を……解き放つ。



 広がる魔力が色彩(いろ)を帯びて、焼けただれ、傷ついた精神体をまるで何もなかったかのように修復しながら、アインを縛る魔力を、負担をかけないように慎重に()()()



「……アイン君……」



 囁きながら、こつりと額を触れ合わせて、その名を呼ぶ。



「……………」



 魔力(ねつ)の高まりと共に、ゆっくりとアインが瞳を開いた。



 神秘的な、黒にも見える深い紫色が……ぼんやりとインスの瞳を捉える。



 その慈愛に満ちた……やさしさとぬくもりを宿す()()を映し出して……



「……ぃ……んす……さま……?」


第3章第1話をお読みいただきありがとうございます。


アインを傷つけ、縛り上げている鎖の「正体」。


それに気づいた時、インスの中で許せないという怒りと、彼を救うための執念が限界を突破します。


自らが傷つくことなど一切気にも留めず、強引に魔力の鎖ごとアインを抱きしめるインス。


そして静かに刻まれる「どんな手を使ってでも」という、狂気すら孕んだ絶対の誓約。


果たしてインスの必死の呼びかけは、闇の底に沈むアインに届くのか!?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第7弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


※シリーズはこちら!

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