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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑦ ~過去《きおく》の悪夢《おり》に執念《いのり》の意地《ひかり》を~  作者: norito&mikoto
第2章 混沌に沈む絶望の

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第4話・荒れ狂うは感情か ~執念《おもい》の重《ふか》さを思い知れ~

第2章 混沌に沈む絶望の



      第4話・荒れ狂うは感情か ~執念おもいふかさを思い知れ~



 インスはこれまで、怒りで我を忘れると言った経験はなかった。



 けれど、今――



 ソファに押さえつけたアインの首に手をかけ、必死に抵抗している幼子を気絶させた神官呪師(ヴィロバ)の姿に一瞬、思考が途切れた。



 直後に渦巻いて放たれた自身の魔力の気配に気づくが、押さえる必要性を感じない。



「……ヴィロバ、エルマーニ……でしたか……」



 自分でも思わぬほど硬質な声音がその男の名を刻む。



 これがただの幻なのか。それとも本当にあったことなのかは関係ない。


 少なくとも、アインがこんな風に夢に見るほどのことを、この男はしたのだろう。



 なら、それだけで万死に値する。



「……許しませんよ……」



 気を失ったアインに回復魔法をかけて、ヴィロバが自分でつけた傷を癒して、痕跡を消している様を見て――ますます怒りが募る。



 どうして、その可能性を、考えなかった?



(初級や中級の範囲での怪我なら、回復魔法で簡単に痕跡なんて消せる……分かり切っていたのに……!)



 別段、アインを殺すつもりがあったわけではないのだから、隠蔽はそれで十分だったはず。



 そのまま、ヴィロバがアインを抱き上げ、隣室へと続く扉に向かう。



「……いい加減……」



 それ以上は我慢できなくて、低い、唸るような声と同時にヴィロバに手を伸ばす。



 掴みかかった手は、やはりすり抜けてしまって、ヴィロバにも、アインにも触れることはできなかったが関係ない。



 感情のままに荒れる魔力を、その塊を叩きつける。



 二人の姿が消え去って、残ったのは閉ざされた扉だけ。



 暗い闇の世界に、たった一枚の扉。



「……アイン君……」



 その扉の向こう側にアインの気配を確かに感じ取って、インスはその名を祈りを込めて呼ぶ。



 どうか、今度こそ……



「……君は、私のものです……」



 この闇の世界に、一筋の光を――



「……私は、君のものですよ……」



 忘れないで……そのことを……



 闇を払いのけるように、全力で魔力を解き放つ。



 固く閉ざされた扉をこじ開けるようにして、隙間から無理やり中に入り込む。



「…………っ!?」



 どこかの室内で、ベッドに寝かされたアインを、その場に縫い留めるように、全身に絡む魔力の鎖。



 それが、ギリギリと締め上げるように蠢いていて……



「っ。アイン君!!」



 悲鳴のような声が迸り、駆け寄ったインスが手を伸ばす。



 けれど……



「……っ!?」



 バチっと凄まじい衝撃と共に弾かれて、背中側から壁に叩きつけられてしまう。



 それでも、これまでになかったアインの呼気(ねつ)を感じた。



(……今度こそ、実体がある……!)



 それが分かって、すぐに立ち上がる。



「……邪魔は……」



 させません――!!



 部屋中に己の魔力を満たし、自分自身を包み込む。



「……アイン君……っ」



 火花が散って、アインの全身に絡む魔力が抵抗を示す。



 魔力と魔力がぶつかり合って、跳ねる魔力が傷を刻む。



 それを無視して、インスはアインに手を伸ばす。



 ただ、アインを抱きしめるためだけに。


第2章第4話をお読みいただきありがとうございます。


闇の底でインスが目撃したのは、決して許すことのできない「悪夢」の正体でした。


アインを痛めつけ、都合よく痕跡を隠蔽するような身勝手な悪意に対し、インスの冷ややかな、しかし明確な殺意が爆発します。


「許しませんよ」 その一言と共にすべてを力技でこじ開け、真っ向から障害に立ち向かうインス。


彼が本気で怒り、我を忘れて魔力を解き放つ時の圧倒的な恐ろしさと頼もしさ!


果たして、 激しくぶつかり合う魔力の嵐の中で、インスはアインを救い出せるのか!?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第7弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


※シリーズはこちら!

https://ncode.syosetu.com/s8365j/

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