表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日、何かいいことあった?  作者: なごやかたろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/31

第2話「大丈夫」

数学の小テスト。

返却された答案を見て、教室のあちこちからため息が漏れる。


「やば……三十八点。」

「終わった……。」


休み時間になっても、点数の話は続いていた。

窓際の席で、一人の男子生徒が答案を机に伏せる。


「親に怒られるな……。」


その声は独り言のようだった。

近くを通りかかった湊は、足を止める。

答案を覗き込むことはしない。

ただ、笑って言った。


「次で取り返せばいいよ。」

「……そんな簡単に言うなよ。」


男子生徒は苦笑する。


「朝比奈はどうせ点数良かったんだろ?」

「まあ、それなり。」

「ほら。」

「でも。」


湊は自分の席へ向かいながら続ける。


「俺も中学の頃、数学は何回も赤点ギリギリだったし。」

「えっ、本当に?」

「うん。先生に『計算を最後まで見直しなさい』って何回言われたか。」


男子生徒は少し笑う。


「じゃあ、まだ希望あるか。」

「あるある。」

「次、一緒に頑張ろう。」


それだけ言って席に着いた。



その様子を、陽菜は本を閉じながら見ていた。

(慰めるんじゃないんだ。)

(『大丈夫』って、ちゃんと信じて言ってる。)



放課後。

落ち込んでいた男子生徒は、友達に笑いながら話していた。


「今日は帰って勉強するわ。」

「珍しいな。」

「なんか……次はできそうな気がしてきた。」


陽菜はその会話を聞いて、小さく笑う。

(また一人、元気になってる。)


帰り道。

夕日が校舎をオレンジ色に染めていた。

陽菜はふと思う。

(あの人が話したのは、ほんの一分くらいだった。)

(でも、その一分で、人の一日って変わるんだ。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ