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第7話 「魔王城、テレビに興味を持つ」

第7話 「魔王城、テレビに興味を持つ」


ある休日の昼。

アキラは自宅でテレビを見ていた。

のんびりとお菓子を食べながら。


「平和だなぁ」


すると。

足元に魔法陣が現れた。


ピカァァァァァッ!!


魔王城。

到着すると。

リリアナがいつも以上にそわそわしていた。


「アキラ!」


「どうしたの?」


「お願いがあります!」


「また?」


魔王が遠くで頭を押さえた。

嫌な予感しかしない。


「今度は何ですか奥様」


執事が聞く。

リリアナは真顔で言った。


「テレビが見たいです」


沈黙。

アキラ。


「テレビ?」


「現実世界で見たのです!」


「見たっけ?」


「家電量販店の窓に映っていました!」


そんなところで覚えたらしい。


「箱の中に人がいました」


「テレビだからね」


「しかも踊っていました」


「テレビだからね」


「どういう魔法ですか?」


「魔法じゃない」


リリアナは納得していなかった。


その結果。

数日後。

アキラの部屋。

リリアナ。

魔王。

執事。

なぜか三人で来ていた。


「増えてる!?」


「妻がどうしてもと言うのでな」


魔王が言う。


「あなたも興味ありますよね?」


「少しだけだ」


絶対もっとある。


そして。

テレビの電源を入れる。

ちょうど動物番組だった。

画面いっぱいに猫。


挿絵(By みてみん)


「かわいい」


リリアナが即座に言った。


「かわいいな」


魔王も言った。

執事。


「かわいいですね」


三人とも陥落した。


その後。


犬。


「かわいい」


子猫。


「かわいい」


子犬。


「かわいい」


アキラ。


「みんな同じ感想だなぁ」


すると。

テレビにライオンが映った。


「魔獣ですか?」


リリアナが聞く。


「違うよ」


「でも強そうです」


「確かに」


魔王が真面目に分析し始めた。


「牙は悪くない」


「戦闘能力は?」


リリアナ。


「中級魔獣程度だな」


動物番組を軍事会議みたいに見るのはやめてほしい。

その時。

テレビに突然ニュースが流れた。


『最近、町で謎の光を見たという目撃情報が増えています』


アキラが固まる。

リリアナも固まる。

魔王も固まる。

執事も固まる。

全員が同じことを考えた。


(魔法陣では?)


ニュースキャスターは続ける。

『SNSでも話題になっており……』


魔王。


「まずいな」


リリアナ。


「少しだけまずいですね」


アキラ。


「結構まずい気がする」


どうやら異世界と現実世界を繋ぐ魔法陣が。

少しずつ目撃され始めているらしい。

空気が少し重くなる。


しかし。


次の瞬間。

テレビからCMが流れた。

ポテトチップスのCMだった。


リリアナ。


「アキラ」


「なに?」


「買いましょう」


「今その話!?」


緊張感が一秒で吹き飛んだ。

魔王まで見ている。


「この味は気になるな」


「あなたもですか」


夫婦で真剣にCMを見始めた。

アキラは思った。


(この人たち、本当に魔界のトップなんだよ

ね……?)


その夜。

異世界へ帰る前。

リリアナがぽつりと呟いた。


「アキラ」


「うん?」


「ありがとう」


「え?」


「現実世界を見せてくれて」


少し照れたように笑う。


「毎日が楽しいです」


アキラも笑った。


「僕も楽しいよ」


リリアナは嬉しそうだった。

その様子を見ていた魔王は。


「まるで弟だな」


と言った。


「弟です」


リリアナ即答。


「即答だった」


アキラが笑う。


実際。

リリアナの中ではかなり前からそうなっていた。

だが。

その穏やかな時間の裏で。

現実世界では。

ある研究者が。

魔法陣の目撃情報を追っていた。


そして。

ついに。


アキラの住む町へたどり着こうとしていた。

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