表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/14

第2話 「魔王より先に奥様のお茶会に呼ばれました」

第2話 「魔王より先に奥様のお茶会に呼ばれました」


翌日。

アキラは学校でも職場でもなく

普通に自宅でのんびりしていた。


休日だった。

ソファに寝転びながらテレビを見ている。


「昨日の異世界、すごかったなぁ」


テーブルの上には例の手紙。

何度見ても本物だった。


「魔王の妻って書いてあるし……」


その時だった。

足元に見覚えのある魔法陣が現れる。


「また!?」


ピカァァァァァッ!!


気が付くと。

魔王城の豪華な部屋だった。


テーブルの上には大量のお菓子。

ケーキ。

クッキー。

プリン。

シュークリーム。

完全にお茶会仕様である。


「来ましたね!」


魔王の妻が笑顔で立っていた。


「こんにちは」


「こんにちは!」


「こんにちは」


「こんにちは!」


なぜか挨拶だけで盛り上がる奥様。


アキラは少し不思議だった。

そこへメイドがやって来た。


「奥様、お茶の準備が整いました」


「ご苦労様です」


メイドはアキラを見る。

そして二度見した。

三度見した。


「人間……?」


「人間です」


「奥様のお客様……?」


「特別なお客様です」


メイドの顔色が変わる。

城中に衝撃が走った。

奥様の特別なお客様。


それは国宝級の扱いである。


数分後。

魔王城の噂ネットワークが発動した。


兵士A 「人間が来たらしい」


兵士B 「奥様のお気に入りらしい」


兵士C 「もう養子なんじゃないか?」


兵士D 「いや孫だろ」


どんどん話が大きくなる。


一方その頃。

アキラはケーキを食べていた。


「おいしい」


「でしょう!」


「ふわふわしてる」


「でしょう!」


「生クリームも甘い」


「でしょう!」


奥様はなぜか誇らしげだった。

作ったのは城のパティシエである。


すると突然。

ドアが勢いよく開いた。


バァン!!


「どこのどいつだ!!」


現れたのは魔王だった。


身長二メートル超え。

黒いマント。

巨大な角。

圧倒的な威圧感。


しかし。


少し疲れているみたいだった


「あなた」


奥様が微笑む。

魔王が固まる。

兵士たちは震える。

この夫婦の会話は災害の前兆だからだ。


「あなた、この子がアキラです」


「こいつが……」


魔王はアキラを見る。

アキラも見る。

数秒沈黙。


そして。


「こんにちは」


「こんにちは」


普通に挨拶した。

魔王が拍子抜けする。


「怖くないのか?」


「大きい人だなぁとは思うけど」


「大きい人」


魔王は人生で初めてそんな評価を受けた。

魔界最強。

世界を震え上がらせた存在。

その評価が。


『大きい人』


だった。


奥様は大爆笑。


「ふふふっ!」


「笑うな!」


「だって!」


「笑うなと言っている!」


「大きい人ですって!」


「やめろ!」


魔王の威厳がどんどん消えていく。


そして、数分後 ....

魔王夫婦の言い合いも収まり

お茶会が再開


奥様がケーキを一口食べる。

そして。


「あ」


「どうかしたの?」


「クリームついてるよ」


アキラは自然な動作で。

奥様の口元についていたクリームを取った。


挿絵(By みてみん)


部屋が静まり返る。


兵士たち。

「…………」


メイドたち。

「…………」


世界が止まった。

奥様本人も止まった。


「え?」


「取れた」


「え?」


「はい」


アキラは何事もなかったように笑った。


数千年生きているが。

口元のクリームを取られたのは初めてだった。

奥様の頬が赤く染まっていく


その日の夜。

兵士たちの会議。


「アキラ殿は何者だ?」


「勇者では?」


「いや神の使いだ」


「奥様を笑わせた」


「奥様のクリームを取った」


「普通なら消し炭だぞ」


全員一致で結論が出た。


『たぶん天然』


帰る時間になる。

魔法陣が現れる。


「また来るね」


アキラが言う。


奥様は嬉しそうに頷いた。

魔王も少しだけ手を振る。


「気を付けて帰れ」


「うん」


ピカァァァァァッ!!


現実世界。

自宅のリビング。

アキラは戻ってきた。

そしてテーブルを見る。

そこには小箱が置いてあった。


「ん?」


開けてみる。

中には金貨がぎっしり。


「え」


十枚。

二十枚。

三十枚。


「えええええ!?」


箱の中には手紙。


本日のお茶会のお礼です。

また来てください。

魔王の妻より


アキラは頭を抱えた。


「これ絶対日本で使えないよね……?」


異世界との行き来は。

まだ始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ