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第1話 「コンビニ帰りに魔王城」

挿絵(By みてみん)


第1話 「コンビニ帰りに魔王城」


六月のある夕方。

主人公のアキラは、近所のコンビニで買った

アイスを片手に歩いていた。


身長156cm。

黒髪のウルフカット。

おっとりした性格。


そして、とにかく頼まれごとを断れない。


「アキラくん、その荷物持ってくれない?」


「うん、いいよ」


「アキラ、代わりにゴミ出しお願い」


「うん、いいよ」


「アキラくん、猫探して」


「うん、いいよ」


結果として、近所では便利屋扱いされていた。

本人は気にしていない。


「今日はアイス買えたし、いい日だなぁ」


のんびり歩いていると、突然足元に魔法陣が現れた。


「え?」


ピカァァァァァッ!!


「わぁぁぁぁぁ!?」


アイスを握ったまま、アキラは光に飲み込まれた。


気が付くと。

目の前には巨大な黒い城。


空は紫色。

角の生えた兵士。

空を飛ぶドラゴン。

どう見ても異世界だった。


「えっと……テーマパーク?」


「違います」


横から声がした。

振り向くと、鎧を着た魔族の兵士がいた。


「ここは魔王城です」


「魔王城」


「はい」


「魔王城」


「はい」


「帰りたいです」


「お気持ちは分かります」


兵士も少し同情していた。


その時。

城の奥から怒鳴り声が響く。


「だから私は反対だったのです!!」


「しかし奥様ぁ!!」


「黙りなさい!!」


ドゴォォォン!!

城の壁が吹き飛んだ。


アキラは固まった。


「え?」


「また始まりました」


兵士は慣れた様子だった。


「また?」


「魔王様と奥様の夫婦喧嘩です」


「壁吹っ飛んだよ?」


「今回は軽い方です」


「重い時どうなるの?」


「城が半壊します」


「離婚した方が良くない!?」


すると。


壊れた壁の向こうから、一人の女性が歩いてきた。

黒いドレス。

長い銀髪。

圧倒的な美貌。


そして凄まじい威圧感。

誰が見ても偉い人だった。

兵士たちが一斉にひざまずく。


「奥様!!」


アキラも慌てて頭を下げる。


「こんにちは」


「こんにちは?」


兵士たちがざわついた。

普通は震え上がる場面である。


しかしアキラは近所のおばあちゃんに挨拶する感覚だった。


女性は目を丸くした。


「……あなた、私が怖くないのですか?」


「綺麗な人だなぁとは思ったけど」


「え?」


「あと、壁はあんまり壊さない方がいいと思う」


「……」


「修理代高そうだし」


周囲が凍り付いた。

兵士たちは心の中で叫んだ。


(終わった!!)


(不敬罪だ!!)


(骨も残らない!!)


しかし。

次の瞬間。

女性は口元を押さえて笑い始めた。


「ふふっ……」


兵士たち。


「?」


「ふふふふっ!」


兵士たち。


「???」


「何なのですかあなた!」


大爆笑だった。

魔王城がざわつく。

奥様が笑った。

数百年ぶりだった。


その頃。

城の奥。

魔王は執務室で報告を受けていた。


「奥様が笑いました」


「は?」


「しかも知らない人間相手です」


「は?」


「めちゃくちゃ気に入ったみたいです」


「はぁ!?」


魔王は立ち上がった。

嫌な予感しかしない。


一方その頃。

アキラは奥様に連行されていた。


「お茶にしましょう」


「え?」


「ケーキもあります」


「え?」


「今後も遊びに来なさい」


「え?」


「決定です」


「えぇ?」


アキラ本人だけが状況を理解していなかった。


そしてその夜。

再び足元に魔法陣が現れる。


「わっ!」


ピカァァァァァッ!!


気が付くと元の世界。

手にはコンビニの袋。

アイスも溶けていない。

時間もほとんど経っていなかった。


「夢だったのかな?」


そう思った瞬間。

ポケットから手紙が落ちた。

そこには綺麗な文字で書かれていた。


また来なさい。

お茶の続きをしましょう。

魔王の妻より


挿絵(By みてみん)


アキラは数秒固まった。

そして。


「……これ、夢じゃないや」


遠く異世界で。

魔王の妻は次回のお茶会の準備を始めていた。

魔王は頭を抱えていた。

兵士たちは、


「また城が騒がしくなるな……」


と悟っていた。


こうして。

現実世界と異世界を行き来するアキラの、不思議な日常が始まったのである。

色んな作品がある中 見つけて下さってありがとうございます!!

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これからまったりやっていこうと思います!!

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