4.魚
朝の光も、鳥の鳴き声も、ホールに吸い込まれて聞こえず。
少女がガサゴソと食べ物を僕のカバンから探している音で目覚めた。
少女には昨日の残りのドーナッツをあげた。
少し硬かったらしく、少女は「かたい…」と言葉を漏らした。
まあ兎にも角にも、体調は良くなったようで良かった。
また昨日のように、宇宙を目指した。
しかし、昨日よりも生き残りが少ない気がする。
おそらくは、落ちたか、自ら命を絶ったか。
少女に今回の件で自殺をした人はどうなるのかと聞いた。
聞かなかったほうがいいのかもしれない。
ホールに落ちた人は元通りになるが、自殺した人は元に戻らないらしい。
すこし憂鬱な気分に、いや、元から憂鬱だったが、更に憂鬱になった。
すべてが終わったらしばらくは休業になりそうだ……
しばらく進んだ時のことだ。
足元を生き物がするっ抜けた。
「うわっ!なんだ?!」
その生き物を見てみると、魚のような生き物だった。──空中を泳いでいたが。
ホールの影響か?
気にしていなかったが下の方を見ると、そこは海だった。
「もうこんなに歩いたのか…。あ、そうだ!」
「…?なにをする?」
「いや、ここらで一旦休憩をしようと思って。それにあれは魚だろ?捕まえてお昼ご飯にしよう。ドーナッツばかりじゃ飽きるしね。」
「わかった。きゅうけいはだいじ。」
とりあえず素手で捕まえてみる。
「えい!」
するっと魚が避ける。
「えぇい!」
またまた避けられる。
「うぉおい!」
またまた避けられ…
「はぁ。わたしがやる。」
「任せた。」
少女はまるで獲物を見つけた猫のように目を見張り、魚を見つめた。
しかし少女は構えていなく、先ほどと同じような表情で立っていた。
緊張の空気が走る。
魚がピクッと動いた。
──刹那。魚にはナイフのような、何かが刺さっていた。
思わず声を漏らしそうになった。
「おぉ…」
実際、声を漏らした。
「もういっぴき。」
パチパチと音を鳴らす焚き火が魚を焼いて、香ばしい匂いがすればよかったが、
なんせ調味料もないから、ただの魚だった。
というかほんとに食べれるのか?これ。
「「いただきます。」」
二人で魚にそのままかぶりついた。
「無味…」
「むみ。」
「まあこんな事態で食べ物を食べられるだけでもいいとしよう。」
「それは、そう。」
「じゃあ後十分ぐらい経ったら出発しよう。それまでに体を休ませといて。」
「わかった。」




