3.かれは
日が沈みかけた頃。
少女がいきなりふらっと、倒れかけた。
「うわっ!と…」
それを僕は受け止めた。
不幸中の幸いで、そこに横になれそうなベンチがあったから、そこに寝かせた。
少女はとても弱っていた。
顔色は青く、呼吸を悪くして。
僕は少し、いや多く少女に苦労をかけてしまった。
少女はまだ子供なのだ。
この旅は、子供には刺激が強すぎる。
少女が、寝言を言った。
「わたしが…やらなきゃ…」
ああ、この子は責任感にやられているのか…
「楽にしていいぞ」と、囁いてみた。
顔色が良くなった気もするが、本人は寝ているので確かめようがない。
僕はそっと、少女の上に、自分のジャケットをかけた。
わたしは、うまれたときからこうだった。
わたしは、このときのためにうまれた。
わたしは、なぜかれをつれている?
わたしは、かれをりようしている?
かみは、おこっている。
かみは、たのしんでいる。
めをさますとぱちぱちと、たきびのおとがきこえた。
わたしはなぜか、とがったものをさがそうとした。
かれがわたしにこえをかけたとき、そのりゆうはわからなくなった。
「起きたか。体調は…大丈夫か?」
少女は少し戸惑ったような表情だった。
「だいじょ──」
「まあなんと言おうと、しばらくは休んでもらうぞ。」
「どうして?はやくほーるをけさないと。たいへんに…」
「僕は、君がいなくなるのが最も大変なことだ。」
…何を言っているんだ?気持ち悪い。
「わかった。やすむ。」
少女は再び寝息を立てた。
その寝息は先ほどとは違い、優しい寝息だった。
僕はそれを見て、安心して、持ってきたドーナッツを食べた。
ドーナッツって言っても穴が空いてないタイプのやつだけどな。
落ち着いてられるのも、ドーナッツが美味しいおかげだと言いたい。
まあ、実際は生まれつきのそれだけど。
僕は眠くなって、目を瞑った。
2時間かけて起こした火がパチパチと音をたて、その火花をホールが吸い込んでいた。




