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ドーナッツの穴  作者: 人のような作家。
少女とホール
4/7

3.かれは

日が沈みかけた頃。

少女がいきなりふらっと、倒れかけた。

「うわっ!と…」

それを僕は受け止めた。

不幸中の幸いで、そこに横になれそうなベンチがあったから、そこに寝かせた。


少女はとても弱っていた。

顔色は青く、呼吸を悪くして。

僕は少し、いや多く少女に苦労をかけてしまった。

少女はまだ子供なのだ。

この旅は、子供には刺激が強すぎる。


少女が、寝言を言った。

「わたしが…やらなきゃ…」

ああ、この子は責任感にやられているのか…

「楽にしていいぞ」と、囁いてみた。

顔色が良くなった気もするが、本人は寝ているので確かめようがない。

僕はそっと、少女の上に、自分のジャケットをかけた。





わたしは、うまれたときからこうだった。


わたしは、このときのためにうまれた。


わたしは、なぜかれをつれている?


わたしは、かれをりようしている?


かみは、おこっている。


かみは、たのしんでいる。




めをさますとぱちぱちと、たきびのおとがきこえた。

わたしはなぜか、とがったものをさがそうとした。

かれがわたしにこえをかけたとき、そのりゆうはわからなくなった。




「起きたか。体調は…大丈夫か?」

少女は少し戸惑ったような表情だった。

「だいじょ──」

「まあなんと言おうと、しばらくは休んでもらうぞ。」

「どうして?はやくほーるをけさないと。たいへんに…」

「僕は、君がいなくなるのが最も大変なことだ。」

…何を言っているんだ?気持ち悪い。

「わかった。やすむ。」

少女は再び寝息を立てた。

その寝息は先ほどとは違い、優しい寝息だった。

僕はそれを見て、安心して、持ってきたドーナッツを食べた。

ドーナッツって言っても穴が空いてないタイプのやつだけどな。

落ち着いてられるのも、ドーナッツが美味しいおかげだと言いたい。

まあ、実際は生まれつきのそれだけど。


僕は眠くなって、目を瞑った。


2時間かけて起こした火がパチパチと音をたて、その火花をホールが吸い込んでいた。


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