2.SOS
少女の言う通り、世界はなんだか不思議なようになっていた。
あちこちに浮島のようにコンクリートが浮いていて、空に進めるようになっていた。
アスレチック感覚で行ければいいのだが…なんせ命綱がない。
落ちたらぐしゃり。そこで終わりだ。
いや、ホールに吸い込まれるのが正しいか?
まあ、どっちにしろ助かりそうにないけど。
僕らは着実に、そして淡々と進んでいった。
少女がホールを消して、それに僕がついていく。たまに少女が届かない場所は僕が助ける。
そうやってかれこれ、三時間ぐらい歩き続けただろうか。
遠くから啜り泣きの音が聞こえてきた。
「なあ、この泣き声って…」
「そうぞうどおり、いきのこり。」
「やっぱりか…よし、助けに行こう!」
「むり。」
少女は迷いもなく答えた。
「え?」
ちょっと待って、今なんて言ったか?無理だって?そんなことないよな。
「ごめん。もう一回言って。」
「だから、むり。いかないって。」
「なんでだよ!僕らにはその銃みたいな道具があるじゃないか!」
僕は怒ってしまった。
少女は少し悲しそうに言った。
「…えねるぎーはゆうげん。」
「あ…」
そうか…そうだよな…あんな凄いことをできるのに無限に使えるわけないか…
「ごめん。ちょっとカッとなってしまった。」
「あやまっているひまはない。いっこくもはやくかれらをたすけないと。」
進む中で、何人もの生存者にあった。もちろん、その痕跡にもだ。
目の前に広がる現状の恐ろしさに負け、放心状態になっている人。
おそらく子供の名前を呼んでいる母親と思しき泣いている人。
頭の左側がホールに吸い込まれた人だった物。
…1番きつかったのは目の前で叫びながら吸い込まれている人を見た時だ。
思ったよりも世界は酷いことになっていた。




